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誰が書いたかが、重要な時代になってくる

スマートニュース株式会社執行役員 藤村厚夫さん #2

2017/02/02

作家、記者、編集者は時代によって大きく増減しない

――検索上位になるようにキーワードを仕込んで記事を人力で大量生産するというのは、人間に機械の真似事をさせたわけですね。

 そうです。そんな虚しい事例をいろいろなところで目にするたびに、悔しくてしかたがないんです。テクノロジーをそういう方向に使ってはいけないし、使い方を知らないからそうなるのではないかと思います。そうしたものと戦うテクノロジーが必要だし、テクノロジーとの戦いはテクノロジーにさせなければいけない。ああいうものを克服していければいいなと思います、って完全に脱線ですね(笑)。

――DeNAパレットの問題でもう一つ思ったのは、「書く人」の価値はこれからどうなってしまうのだろうということでした。PVが指標として支配的になってしまえば書き手の個性は、機械的にバズワードを仕込める機械か人の前では意味をもたなくなるのでは、と。

 書き手の価値はむしろ高まっていくんじゃないですかね。もちろんソーシャルな空間で、詠み人知らずで書かれたがゆえのおもしろさもあるんだろうとは思いますが、信頼性という意味でも「誰」が書いたかは重要な指標であり続けるだろうと思います。ネット空間の匿名の書き手も、プライベートな個人情報は開示しなくてもヴァーチャルな人格は同定されていきますし。

「エンジニアは床に座ったほうが閃くらしいんですよ」

 SmartNewsは、いろいろな媒体からコンテンツをお預かりして、再構成しています。その弊害として、それぞれの媒体価値がやや後景に退いてしまっているのは否めません。だからこそ「チャンネルプラス」という媒体ブランドを高める仕組みをご提案してもいますが、多かれ少なかれ媒体が後景に退く時代であればこそ、「誰」が書いているのかはますます重要な指標になっていくのだろうと思います。

 結局のところ、価値のあるコンテンツを生み出せる人は、世の中にそう多くはいません。作家、記者、編集者など、充実したコンテンツを生み出せる人は時代によって大きく増減しないというのが、出版メディアを近くで客観的に見てきて思うことなんですね。コンテンツは常に有限で、であればこそ有限なコンテンツが必要としている人の手に届き、作り手が適正に報われるような状況を作りたい。我々のビジネスもそこを目指したいですね。

「ハンモック、僕はそんなに使いませんけどね(笑)」

ふじむら・あつお スマートニュース株式会社 執行役員、メディア事業開発担当。1978年法政大学経済学部卒業。90年代に、株式会社アスキー(当時)で書籍・雑誌編集者、日本アイ・ビー・エム株式会社でマーケティング責任者を経て、2000年に株式会社アットマーク・アイティを起業。その後、合併を経てアイティメディア株式会社代表取締役会長。2013年より現職。

写真=榎本麻美/文藝春秋

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