(お悩み)海外転勤を命じられましたが、英語が通じるか……
商社で働いているのですが、この春に海外転勤を命ぜられました。
赴任期間は2年間で、帰国後には昇格も約束されているのでとても良い話なのですが、一つ心配があります。それは僕の英語の発音です。
自分で言うのもなんですが、とにかく発音が悪いのです。文法にはそこそこ自信があるので、メールベースであれば海外ともやりとりできるのですが、現地赴任となり実際の会話となると言葉がちゃんと通じる自信がありません。暗記してしまえばよい単語や文法と違い、発音となると元から持ったセンスが大きいので、英会話スクールに通っても一向に上達しませんでした。
こんな僕ですが、海外でしっかりコミニケーションを取ることができるでしょうか。(28歳・男性・商社勤務)
(小宮山雄飛からの回答)
日本人にとって英語の発音は永遠の課題でもありますね。ミュージシャンの世界でも、歌がめちゃくちゃうまいシンガーが、英語のカバー曲を歌った途端にズコー! っとなるほど発音が悪く、ドン引きというケースもあります。
ところで、僕は渋谷区観光大使という肩書きも持っているのですが、地元渋谷に「富士屋本店」という老舗の立ち飲み屋さんがあります。これぞ大衆居酒屋の鏡とも言える、古き良き酒場の雰囲気を今も残す名店です。
このお店に初めて行った時、壁に貼られたメニューの中に「ハムカツ」を見つけてすかさず頼みました。ハムカツって揚げ物界ではとんかつやエビフライに比べて、かなり下に位置付けられてるにも関わらず、なぜか居酒屋のメニューにあると突然魅力が増す食べ物ですよね。とんかつやエビフライ、コロッケで飲むより、断然ハムカツの方が酒に合うのです。
しかし、注文後少しして自分の前に置かれたものを見て、僕は愕然としました。
明らかに衣もついていない、そもそも揚げてすらいない、そのまんまのハムがキャベツの上に盛られてきたのです。
「なにこれ? ハムカツじゃなくて、ただのハムじゃない!?」
僕は混乱しました。
そして初めてという緊張感の中で、勇気をふりしぼってお店の人に聞いてみました。
「すいません……、これってなんですか?」
すると意外な答えが返ってきました。
「ん? ハムキャベツだよ!」
え??
「だから、お客さんが注文したハムキャベツだよ!」
なんと、ハムカツを注文したつもりが、僕の発音が悪かったのか、ハムキャベツという別のもので注文が通っていたようです。おそらく初めてという緊張でモゾモゾと言ってしまったのでしょう。
しかしここで「すいません、僕はハムカツって言ったんですが」と言えるほどの度胸はありません。僕は泣く泣くそのハムキャベツを食べることにしました。
すると、これが実に美味しい! あっさりしたハムがすっきりしたホッピーに実に合う。さらによくよく周りを見てみると、ハムキャベツを頼んでる常連さんがかなりいる。そう、これこそが富士屋の名物の一つだったのです!
もし僕の発音が良くて、しっかりハムカツで通っていたら、この名物ハムキャベツと出会うことはなかったかもしれません。
発音が悪いことで得られる思わぬ収穫もあるものです。ネイティブな発音ばかりを気にせずに、体当たりのコミニケーションで海外転勤にのぞんでみてはいかがでしょう。
ちなみに富士屋と同じ渋谷では、ハムかつ・とりかつ・コロッケの3種類が入った「とりかつチキン」の<人気定食>、さらに「レストラン牛舎」の<ハムかつとカレーのセット>もお薦めだということを、渋谷区観光大使兼ハムかつ好きとしては合わせてお知らせしておきたいと思います。
富士屋本店
渋谷区桜ヶ丘2-3 富士商事ビル B1F
03-3461-2128
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13007238/
とりかつチキン
渋谷区 道玄坂2丁目16-19
03-3461-0298
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13001699/
れすとらん牛舎
渋谷区宇田川町41-1 第一共同ビル B1F
03-3464-4806
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13091096/