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私がアイドルをやめて大学を目指したわけ

『アイドル受験戦記 SKE48をやめた私が数学0点から偏差値69の国立大学に入るまで』 (菅なな子 著)

genre : エンタメ, 読書

note

 アイドルを辞めて受験生に。しかも目標は偏差値69の名古屋大学経済学部――。

 菅なな子さん(19)は中学3年生の秋に、AKB48グループの一つSKE48の第5期生オーディションを受け、5988人の中から合格した。同期の中でも最初にシングル曲の選抜メンバーに抜擢されるなど人気と期待を集めたが、高校2年生の冬に大学受験を決意してグループを卒業した。

『アイドル受験戦記 SKE48をやめた私が数学0点から偏差値69の国立大学に入るまで』は、そんな菅さんの、怒涛の受験生活を綴った物語だ。

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菅なな子(すが・ななこ)1996年静岡県生まれ。中3でSKE48の5期生に合格、得意のダンスが認められ、翌年にはシングル「キスだって左利き」で選抜メンバー入りした。将来のリーダー候補として期待され、芸能活動と学業の両立に努力したが、2013年、高2の冬に大学進学のためグループ卒業を発表、芸能界を引退した。大学在学のかたわら、公認会計士資格取得を目指して猛勉強中。

◆ ◆ ◆

――なぜ、アイドルをやめて大学受験をしようと思ったんですか?

「綾瀬はるかさんのドラマ『ホタルノヒカリ』などの影響で、昔からオフィスで颯爽と働く女性に憧れていたんです。SKE48に入ろうと思ったのも、小学校1年生から習っていたダンスが思う存分できそうだという考えで、一生を芸能界でとまでは考えていませんでした。そしてアイドルとして活動しているうちに、マネジメントされる側よりも、自分がマネジメントする側になりたいと思い、商品を開発したり、イベントを成功させたりする仕事に興味を持つようになりました。そんな中で広告代理店などの一般企業に就職したい、という気持ちが強くなり、それならば大学に進学したほうがいいと思ったんです」

 

――名古屋大学は相当な難関だと思いますが、合格する自信はあった?

「いえ、さすがに最初はありませんでした。SKE48を卒業するまでは栄のSKE48劇場での公演やテレビ出演、コンサートなど、目まぐるしい忙しさで、高校の進級も出席日数ギリギリでした。海外にプロモーションビデオ撮影に行ったときも、他のメンバーがショッピングに出かける中、進級がかかっている定期テストの勉強をしていました。そんな風に授業もきちんと受けられていなかったくらいなので、高2の冬から通い始めた予備校の最初のテストでは、全然点数が取れなかったんです。英語の授業はbe動詞のおさらいから始めました。

 ただ、アイドル時代が本当に忙しくて体力的にもしんどかった分、受験勉強に関しては誰よりも量をこなしてやる、勉強時間をかけてやる、という自信はありました」