統計不正問題や沖縄基地移転問題、暗礁に乗り上げた日ロ外交問題や、進展を見せない拉致問題など、さまざまな問題を抱える安倍晋三首相だが、早くも4選の話題が持ち上がっている。自民党の党則では総裁任期は「連続3期9年まで」となっているが、そもそも安倍首相が3選するまでは「連続2期6年まで」だった。関連する発言を追ってみた。
二階俊博 自民党・幹事長
「今の活躍からすれば十分あり得る。余人をもって代え難いときは、(4選への総裁任期の延長は)なんら問題ない」
読売新聞オンライン 3月13日
「党内外、特に海外からの評価もある今の状況では十分にあり得る」
日本経済新聞電子版 3月15日
安倍首相4選論の震源地は、二階幹事長だ。12日の記者会見で、安倍首相の4選について「なんら問題ない」と言い切った。二階氏が安倍首相の4選について公の場で発言するのは初めてとなる。安倍首相の総裁任期は2021年9月まで、この時点で戦前戦後を通じて史上最長の政権となるが、総裁任期延長が実現すれば2024年9月まで首相を務めることになる。
これまでにも二階氏は2月10日に行われた自民党大会での囲み取材の際、オフレコと前置きしつつ、「私は、総裁にさらに頑張っていただきたいという声が出てくると思う」と安倍首相の4選を示唆していた。
あえて「活躍」と言い切る二階氏
また、2月18日の夜に行われた「自民党93年初当選組」の同期会では、林幹雄幹事長代理が「4選もあるんじゃないか」と安倍首相に声をかけている(『週刊現代』2019年3月9日号)。林氏は二階派に所属しており、「親分」からのメッセージを安倍首相に伝えたとも考えられる。
二階氏の発言は、今夏の参院選後をにらんで、安倍首相と執行部の求心力維持を図る狙いがあるとされている。二階氏は過去にも連続3選を可能にする党則改正を主導したことがあるが、二階派は党内の第5派閥で有力な総裁候補がおらず、4選論をいち早く唱えることで安倍首相の任期である21年9月までは党内で一定の発言力を確保することができる。4選が現実になれば、さらに影響力も保持できるとの読みもあると見られる。
統計不正問題、沖縄基地移転問題、暗礁に乗り上げた外交問題など、さまざまな問題を抱えたままの安倍首相だが、二階氏は「活躍」とあえて言い切ってみせた。「海外からの評価」というのは、これまで大量に兵器を購入してきたアメリカのトランプ大統領や、経済支援を行ってきたロシアのプーチン大統領ということだろうか? これまで田中角栄、竹下登、金丸信らに仕えてきた二階氏について、「誰よりも早く、勝ち馬に乗る」と評するメディアもある(プレジデントオンライン 3月14日)。言い得て妙だと思う。