オリックス・バファローズファンのみなさま。うちの竹安、よろしくお願いいたします。
西勇輝投手のFA移籍に伴い、阪神タイガースから人的補償でバファローズへ移籍したのが竹安大知投手です。今年プロ4年目を迎える24歳。
2015年のドラフト3位でタイガースに入団した若き右腕は、これまで1軍での登板はわずか3試合にとどまっています。しかし2017年、救援でプロ初登板を果たすとわずか9球でプロ初勝利。2018シーズンは前半を怪我で棒に振るものの、後半には復帰。ウエスタンながら14試合で6勝0敗、防御率1.30という成績を残しています。タイガースでも今年期待の選手の一人として名前があがったりもしましたが、移籍となりました。バファローズでは西投手が背負っていた背番号21を渡され、球団側の期待の高さが窺えます。
タイガースに在籍した3年間の印象は私の中では“おっとり真面目”。移籍が決まって取材をしてみると虎番記者への警戒心が解けたのか、流れるように言葉を紡いでくれました。これからお世話になるバファローズファンのみなさま、竹安投手の取り扱い説明書“トリセツ”をご一読ください。
じっくり温かく見守って下さい
社会人熊本ゴールデンラークス時代にトミージョン手術を受けた影響で、プロ生活はスロースタートとなった竹安投手。手術前は「箸を持つときも手が震えていた」といい、手術しなければプロにはなれなかったと思うと話します。タイガースでの3年間はリハビリが長かったものの、鳴尾浜で見守ってきた安藤優也育成コーチは「安定感はファームにいる投手の中では1番2番! 大崩れすることがないから計算できるピッチャーなんだよね。低めに投げられるという大事なコントロールもある。スピードが特段早いわけではないけど、力があるボールを投げるよ!」と大絶賛。1軍でも投げればやれると太鼓判を押していました。
高山選手、青柳投手などの同期入団の中で唯一1年目に1軍出場を果たせなかったことが「結構ショックがでかかった!」といい、なかなか思う通りにいかず、すごく歯痒い思いをした3年間と振り返っています。しかし、続いた言葉は「人的補償はチャンスだと思っています」。漁師の父を持ち、実家は田畑に囲まれているという長閑な環境で育った竹安投手。24歳とは思えないほどの落ち着きぶりで、私と話していてもいつもどちらが年上かわからなくなります(笑)。冷静にふるまえる心の強さには脱帽。「移籍1年目ですけど、プロでは4年目。結果にこだわってやっていきたいです!」心機一転、新天地での活躍を誓っています。
1本の電話でもう前を向いています
とはいっても、人的補償で移籍するということはタイガースのプロテクトリストに名前がなかったということになります。ジムでのトレーニング中に球団関係者から電話がありすぐに悟ったそう。直後には「正直気持ちの整理はついていないです」と語ったように、ショックは小さくありませんでした。
そんな竹安投手のスマートフォンに見知らぬ番号から電話がかかってきました。
「もしもし? 矢野です!」
タイガース・矢野燿大監督からでした。矢野監督自身もドラゴンズを7年で終わりタイガースへトレードという経験をしていて悔しい思いをしたということ。チャンスだと捉えて頑張ってくれとエールを送られたそうです。
翌朝にはさらにLINEが届き「竹安自身ビックリやらショックなど色々な感情があってまだ気持ちの整理がついてないと思う。俺もトレードに出されて、気持ちはわかるような気がしてる。(中略)今回の事をピンチにもチャンスにもするのは竹安自身やから、活躍を楽しみにしています」。プロテクトから外れていたということが何よりもタイガースでの自分の立ち位置を示していました。同じような経験をされた矢野さんの言葉だからこそ、説得力があり、矢野さんのように移籍後長く活躍したいとうまく気持ちを切り替えることができたようです。