デンマーク・シルケボーで行われているカーリングの世界選手権。日本代表の中部電力はラウンドロビン(予選リーグ)を6勝6敗の6位で終え、6枠のプレーオフにぎりぎり滑り込んだ。
リードの石郷岡葉純、スキップの中嶋星奈、フォースの北澤育恵ら3選手にとっては初の世界戦だが、緊張を感じさせないプレーでチームを牽引する。躍進の理由と準々決勝のロシア戦の展望について、現地で観戦する両角公佑の解説から紐解く。
「3人は初めての世界戦とは思えない」
「みんな伸び伸びと楽しそうに、いいカーリングしてますよ」
6勝6敗のタイで終えたラウンドロビンを総括するのは、平昌五輪の男子代表で、現地でテレビ解説をしている両角公佑(ANAビジネスソリューション)だ。この秋から中部電力のコーチに就任した両角友佑の実弟でもある。
「もちろん、世界戦ですから勝ったり負けたりです。でも、どの試合も自分たちのゲームをやり切って、あるいはトライしての結果ですから、敗戦にも引きずられることなく、うまく切り替えていますね。特に年下3人は初めての世界戦とは思えないです。僕とは違って」
両角公自身、初めての世界戦では「普通と思っていたんですけど、それも分からないくらい緊張していたんでしょうね」と1投目のガードストーンが、遥かにハウスを超えてしまった苦い経験があるという。
バックアップは万全と言っていい
確かに中部電力の若い3人、石郷岡、中嶋、北澤は特にリラックスしてゲームに向き合えている印象だ。ミスは出るが、攻めた結果のものが多く、ショットのミスをスイープで取り返すといった場面も散見する。緊張感はあるが、必要以上に硬くはなっていない。
理由はいくつもある。コーチボックスにはチーム最年長の清水絵美と、男子トップ選手の両角友、ナショナルコーチのJ.D.リンドが揃い、地元軽井沢からは平昌五輪の男子チームに帯同した鵜沢将司トレーナーが来てくれた。戦術面、フィジカル面、メンタル面でのバックアップは万全と言っていい。
さらに中部電力の勝野哲社長以下十数人が、0泊3日の超弾丸ツアーを組んで現地応援に訪れた。日の丸が振られるスタンドに向かって選手が笑顔で手を振る、ホームに近い雰囲気でゲームに集中できている。