「特筆すべきは彼女のカーリング歴です」
ラウンドロビンの結果をおさらいすると、1位から順にスウェーデン、韓国、ロシア、スイス、中国、日本だ。中国以外には勝てていない日本だが、ポジティブに解釈すると開き直って挑戦者のメンタルで向かいやすいのではないか。
また、両角公はフォースの北澤育恵のパフォーマンスについても言及する。
「最初は良くて、中盤ちょっと調子が落ちたんですけど、最終日、特に中国戦では難易度の高いフォースながら99%のショット率を残しました。日本選手権の時のような“育恵無双”状態ですね。
ムラさえなくして高いパフォーマンスを維持できれば世界のトップとも互角以上の存在になると思うのですが、特筆すべきは彼女のカーリング歴で、まだ7年です。この先が恐ろしいですよね。『こうしろ』と決して言わず、自分で考えさせ、結論を導くようなアドバイスをする名コーチもついたみたいだし、来季以降も楽しみなタレントです」
あとは下克上だ
その名コーチ、兄の両角友の北澤評が、奇しくも弟のコメントを裏付けている。
「テイクの技術は本当に高い。だから昨季までは自分の投げたいショット、自信あるショットを中心に投げていた印象でした。僕はコーチとしてあくまで選択肢としてドローのラインを挙げてきました。彼女はそれを投げる時もあれば、投げない時もある。
コーチ席から試合を観てても『俺ならそのウェイトでそこには投げないだろうな』と思うことも正直、あります。でも、最後に投げる人は、選択肢さえ頭にあれば投げたいショットを投げる。特に今はそれで勝てているので、OKです。決まらなくなった時、勝てなくなった時にまたみんなで考えればいい。育恵もチームもこれからまた伸びると思いますよ」
世界選手権の6位以上は確定した。あとは下克上だ。仮に今季、勝てなくても来季以降に伸びる根拠も十分にある。無欲でしかし貪欲に、残りのゲームを楽しんで欲しい。