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「KO」ではなく「CO」の意味するところは

 この「KO」じゃなくて「CO」の意味するところは「COMMUNICATION」「COLLABORATION」「CO-CREATE」などからきているらしい。

 思えば、90年代ごろから名前の「CO化」がはじまっている。特にミュージシャンにその傾向が強い。「Cocco」や「Keyco」など枚挙にいとまがない。俳優でも速水もこみちがアルファベット表記では「Mocomichi」と名乗っている。今や「こ」は「CO」であたりまえだ。80年代に一世を風靡したバンド「レベッカ」のボーカルの名前が「NOKKO」と実直なヘボン式表記だったことと考え合わせるとその変化がうかがえるだろう。そしてこの傾向を広く世に知らしめたのは2002年にいきなり「rumico」名義でCDを出した小柳ルミ子ではないだろうか。あれにはびっくりした。

 関係ないが、二酸化炭素 (CO2)を含む温室効果ガスの削減を定めた京都議定書が採択されたのは1997年である。90年代はまさに「COの時代」だったと言えるだろう。

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 って、何の話だっけ。

 そうそう、でこの「KOSUGI は、COSUGI へ。」に代表されるマンション界における「CO化」だが、実はこれも団地に深く関わりがある。そう、名建築家たちを起用し、臨海部におけるマンションブームの先駆けとなった2003年~2005年完成の、UR(旧公団)によるデザイン団地「東雲キャナルコートCODAN」だ。お堅い印象があったかつての公団がイメージ一新を図るためにほどこしたのが「CODAN」という名称だったのである。「rumico」改名に遅れること1年だが、しっかりとこの世界に「CO」を根付かせた金字塔だ。武蔵小杉のタワーマンションはポエムにおいてその系譜を継いでいる。

 ちなみに、現在のアルファベット表記ブームは「RじゃなくてL」だ。マンション名でも「SOLA~」などの「L表記」物件がちらほら存在する。そのうち「rumico」も「lumico」になるんじゃないだろうか。そして、もしかしたら「令和」も「LEIWA」表記になるかも。(初出「アットホーム」ウェブサイト)

立体交差/ジャンクション

大山 顕

本の雑誌社

2019年2月14日 発売