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100点を取れるところで、絶対に100点を取るということ

「ピッチャーが“打ち取った”打球は、なんとしてもアウトにしてくれ。ファインプレーなんて、一切しなくていい。正面に飛んできたゴロを、どんな形でもいいから取って、アウトにしてくれ。それ以上のことは、やらなくていい」

 プロフェッショナルとは、100点を取れる場面で、100%の確率で100点を取ること。それが、99%になった時点で、プロではない。そう、教わりました。だからこそ、まだ内野手だった梶谷が、練習でランニングスローをしただけで激怒していました。

「そんなプレー、必要ない! 足で踏ん張って、正確に投げろ! それで、十分アウトになるだろ!」

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 現役時代の万永さんは、守備固めでの出場が多い選手でした。引退する年、守備固めで出場した試合で、なんでもないゴロを一塁に悪送球。そこからなんと10点を取られてしまう。そのプレーで、引退を決意したそうです。絶対にアウトにできる打球を、絶対にアウトにする。100点を取れるところで、絶対に100点を取る。これは、万永さんの実体験から来ているんですね。

 野球というスポーツにおいて、もっとも華があるのは、三振とホームランでしょう。それが、最も勝敗に直結するプレーであると同時に、最も観客を魅了するプレーだからです。故に、たくさん三振を取れる選手、たくさんホームランを打てる選手にたくさんの報酬が支払われます。そのことは、紛れも無い事実。ただ、プロ野球は長いシーズンを戦った先に結果が出ます。その中では、当たり前のことを当たり前にできる選手、100点を取れる時に、100点を取れる選手が必ず必要になってきます。そして、2番という打順こそ、高い確率での仕事を要求される打順であるし、セカンドというポジションこそ、あらゆるプレーに絡むことのできる安定的な守備力を求められるポジションです。つまり、「2番セカンド柴田」こそ、ベイスターズにとって最も効果を発揮する布陣なのかもしれません。

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