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ファイターズの新継投策“オープナー” 原稿でもやってみた

文春野球コラム ペナントレース2019

 先日の記事で、「オープナー」を試すもまだそれで勝ててない、ということをちょろっと書きました。

 その試合の1つ、4月6日の対ライオンズ戦。山賊打線の暴虐を許して16失点しましたが、「オープナー」加藤貴之は2回無失点なんですね。なので辻監督には「抑えられるかと思ったけど、2回で代えてくれた」なんて言われまして。

 そしたら、このコメントを「言葉で牽制した」と評価するツイートを見たんです。オープナーという手法の世評を下げて、ファイターズがこれをやりにくくするものだと。

 えー、そうかなあ……?

 チーム方針とか作戦とか戦術とかというものは、相手の監督にからかわれたからとか世間の評判がとかで変えたりするもんなんでしょうか。それもファイターズが、ですよ。

はなっから開き直ってるんですよ

 2006年のドラフト会議、長野久義を指名して物議を醸しました。その5年後には菅野智之を指名して交渉権を獲得してしまい、原貢氏には人権蹂躙とまで言われました。更に翌年、大谷翔平を指名して、メジャー挑戦を邪魔するのかと批判され、結局彼が入団したので密約を疑われもしました。そして投打二刀流の育成方針で、バカかアホか何考えてんだ野球をなめるな真面目にやれふざけてんじゃねえと非難囂々雨あられだったのはまだ記憶に新しいところです。

 面の皮が厚いというか、鈍感というか。そんな世間の風向きを気にするようなデリケートさなんて、この球団、薬にしたくも持ち合わせちゃおりますまい。

 13年前、球団社長からなぜ長野久義を指名するのかと訊かれたGM補佐吉村浩は「うちに欲しい外野手なのに、なぜ指名しないのですか」と反問したそうですが、GMとなった今の彼は、栗山監督にこんなことを言っているそうです。

「監督の言っていることは、全部間違っていますから」「間違っているけれど、監督が信じた道ならいいじゃないですか」(『栗山魂』より)

 はなっから開き直ってるんですよ、この人達は(青空百景)。

※選手の交代をお知らせします。青空百景に代わりまして、ライターえのきどいちろう。

栗山英樹監督 ©文藝春秋

日本の「オープナー事始め」は一朝一夕ではない

 加藤は開幕4ゲーム目の楽天戦初戦から、実に3カード連続で予告先発に立っている。10日間で3度の先発だ。そんなピッチャー見たことない。雪の楽天生命パークに始まって、東京ドーム、ヤフオクドームと列島縦断のスタジアムツアーだ。もうこれだけで記憶にとどめる価値があるだろう。

 4月2日楽天戦、3回無失点(バーベイト3回1失点)
 同6日西武戦、2回無失点(金子弌大2回5失点)
 同11日ソフトバンク戦、3回2/3、5失点(西村天裕1回1/3無失点)

 これが「3カード連続予告先発」の内容と、2番手投手の成績だ。11日のソフトバンク戦は打線1巡まではほぼ完ぺきに抑え、2巡目で(アンラッキーもあって)大崩れした。4日楽天戦の斎藤佑樹も含め、ここまでファイターズは「オープナー」を立てた試合でただの1勝もしていない。試行錯誤の連続だ。うまく試合をつくれたと思ったら打線が不発であったり、オープナーは機能したのに2番手がうまく行かなかったり、抜群の出来で2巡目も引っ張ってみたら裏目に出たり。日本の「オープナー事始め」は一朝一夕ではない。

 加藤は先発もリリーフも両方経験しているピッチャーだ。単なるメジャー流の受け売りということではなく、加藤自身の経験からも調整法が探られている。中3日程度の登板間隔はリリーフに近い。が、その間、ブルペンには入らないそうだ。コンディション調整のピーキング(ピーク作り)が難しいと思う。状態だけでなく、気持ちもつくらねばならない。