安倍晋三 首相
「元号の出典は日本で書かれた書物がいい」
日テレNEWS24 3月1日
安倍首相は元号に対して、明確な要望を口にしている。
これまでの247の元号は、確認できる限りすべて中国の古典から選ばれていた。「平成」は古代中国の名君や名宰相らの言行録『書経』の「地平らかに天成る」や、司馬遷による歴史書『史記』の「内平らかに外成る」に由来する。「昭和」は『書経』の「百姓昭明にして萬邦と協和し」から採用されており、「明治」と「大正」は儒家の経典だった『易経』に由来している。
一方、安倍首相は周辺に対して「元号の出典は日本で書かれた書物がいい」と話していると報じられた。3月13日の衆院予算委員会で、吉岡秀弥内閣参事官は「国文学、漢文学、日本史学または東洋史学などの学識を有する方の中から委嘱することになる」と答弁(時事ドットコムニュース 3月13日)。政府が数案に絞り込む前の段階の20案程度の中にも、国書に由来する案が含まれているという(朝日新聞デジタル 3月2日)。
唐突に思える「日本で書かれた書物がいい」という要望
京都産業大学の久禮旦雄准教授(日本法制史)は、「平成改元の際もすでに国書から採用する案が検討されていた」と語っているが(京都新聞 3月29日)、安倍首相自らの要望は唐突なようにも思える。では、なぜ安倍首相は「日本で書かれた書物がいい」と話したのだろうか?
日刊ゲンダイDIGITALでは官邸関係者が「日本の古典から選ぶのは、中国嫌いの右派支持層に配慮したのだと思います」と語っている(3月3日)。また、『女性セブン』では「安倍首相は“なぜ日本の元号制定に中国の手を借りなければならないのか”という感覚だそうです」という政治ジャーナリストの声を紹介している(4月11日号)。だが、元号制定に大きな影響を与えたのは、この人の声ではないだろうか?