笹川陽平 日本財団会長
「新元号は中国の古典からの引用を止め、わが国独自の自由な発想で定めてほしく思う」
産経新聞 1月3日
今年1月3日の笹川陽平日本財団会長による産経新聞への寄稿が元号関係者の間で大きな注目を集めたという。
笹川氏は政権幹部とも親交が深く、2018年8月には安倍首相と森喜朗氏、小泉純一郎氏、麻生太郎副総理兼財務相、岸田文雄自民党政調会長が夕食会で談笑する写真やゴルフを楽しむ写真をブログにアップしている。夕食会が開かれたのは山梨県鳴沢村にある笹川氏の別荘である。
寄稿の中で笹川氏は、日本には卓越した造語の歴史があると指摘。「互いに影響し合いながら独自に発展する姿こそ文化の在り方」とした上で、「今回あえて中国古典にとらわれることなく独自の手法で新元号を定めるよう求める」と記している。
「なぜ日本の元号制定に中国の手を借りなければならないのか」という感覚を持つとされている安倍首相が笹川氏の意見を読めば大いに納得するだろう。なお、笹川氏と中国との関係は非常に深く、1989年に設立された笹川日中友好基金は日中間最大の民間基金であり、鄧小平中央軍事委員会主席(当時)ら中国の要人とも何度も会談している。
本当に日本オリジナルを求めるなら、「造語」になる?
とはいえ、「日本書紀」は中国古典を引きながら漢文で記されているように、国書から漢字2文字を探すと、典拠は中国の古典に行き着くケースが多いという(朝日新聞デジタル 3月19日)。本当に日本オリジナルの由来を求めるなら、笹川氏の言うように「造語」を使うことになる。
国文学研究資料館長のロバート・キャンベル氏は「北東アジアは一つの漢字文化圏。元号の典拠が国書か漢籍かと対立的に見るべきではない」と指摘しているが(朝日新聞デジタル 3月19日)、安倍首相はどう考えているのだろうか。4月1日の記者会見で語られるという「意義」と「メッセージ」を待ちたい。
菅義偉 官房長官
「新たな元号が広く国民に受け入れられ、日本人の生活の中に深く根ざしていくよう各界の有識者などの意見を伺いながら決定していきたい」
日テレNEWS24 3月1日
いずれにせよ、元号が「日本人の生活の中に深く根ざしていく」ことはないのではないだろうか。だって不便だし。