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「ナインティーンとかいう名前のコンビに会いたい」

<片岡が見たのは日本テレビで放送されていた『吉本印天然素材』(1991年~94年)。その名の通り、雨上がり決死隊、FUJIWARA、バッファロー吾郎ら吉本興業所属の若手芸人が集まって結成されたユニット「吉本印天然素材」の番組だ。ナインティナインも参加していたが、その中でも一番の若手。しかも、笑いとダンスをミックスするというアイドル芸人的な売り出し方に反発していたため、ユニット内での扱いも悪く、隅に追いやられ「腐って」いた。従って、画面の中でもいわゆる“推しメン”ではなかった。>

 画面の端っこでピョンピョン飛び跳ねている小さいやつに目が止まったんです。「わ、すごい」と。やっぱり芸人って運動神経がナンボなところが、ひとつ間違いなくあると思うんです。ノリさん(木梨憲武)だとか、ウッチャン(内村光良)に通じる運動神経の良さを岡村に感じたんですよ。

 それで、テレビでのうろ覚えで「ナインティーンとかいう名前のコンビに会いたい」ってよしもとに電話したら、「ああ、ナインティナインのことやろ?」って(笑)。まだ大阪に住んでたナインティナインもまさかフジテレビに呼ばれるなんて思ってなかったから、びっくりしながらやってきたのが最初ですね。

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 その当時、書類には岡村の身長が「160センチ」って書いてあったんです。ところが初対面の瞬間、岡村を見て思わず一言目に出たのが「160もないでしょ?」(笑)。そしたら岡村はバツが悪そうにペコリと「お恥ずかしい」みたいなリアクションをしたんです。僕はその表情一発で好きになったんだと思います。ネタを見る前に射抜かれた。でも、156センチのほうが芸人としては面白いのに、160センチって書くって、思春期丸出しでしょ?(笑) 

 矢部は当時から穏やかなイケメンって感じでしたけど、服とかバッグとかまだビンボー丸出しだった(笑)。それでも出会ってから数時間喋ってみると、2人とも礼儀正しく真面目なところがすごく好感がもてた。

『新しい波』でのグラミー賞ネタ。「MCハマー」に扮した岡村がカメラのフレームからはみ出すような勢いで踊り、動きまくる ©フジテレビ
『新しい波』での病院ネタ。このとき岡村が着ていた自前の“青ジャージ”がのちの「オファーシリーズ」(#2)の原点となった ©フジテレビ

 それに比べるとよゐこのほうが、とっぽいって言うか、ずっと尖ってた。濱口はともかく有野なんて共通言語を探すのにも苦労したくらい。意外に思われるかも知れませんが、僕は『めちゃイケ』の一番の天才は有野だと思っていて……次が山本圭壱かな。あれも間違いなく天才です。で、岡村は持って生まれた身体と運動神経は天賦、まさにギフトだと思うけど、中身は決して天才じゃなく秀才タイプ。矢部は……僕は彼の努力を知ってますけど、陰ではとても勉強家でしたね。

 あとはなによりナインティナインは2人ともサッカー部、「努力と根性の似合いそうな体育会系」で若手ディレクターの僕としては、よゐこや極楽とんぼと比べれば、より話の合うコンビだったんだと思います。