フジテレビ・チーフゼネラルプロデューサー片岡飛鳥氏のロングインタビュー第3回。今回も人気のテレビっ子ライター・てれびのスキマさんがじっくり聞きます。(全11回の3回目/#1#2#4 、#5#6#7#8#9#10#11公開中)

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たけしさん、さんまさんに会えてキャッキャしてた

<1988年にフジテレビに入社した片岡飛鳥は『オレたちひょうきん族』のADとして、テレビマンとしてのキャリアをスタートさせた。彼がAD~新米ディレクター時代に学んだこととは何だったのだろうか。>

『ひょうきん族』のADになって、それまでただの大学生だったのに、収録に行けと言われたその日にタレントクロークに(ビート)たけしさんや(明石家)さんまさんが現れたときの、興奮というのは、何と表現していいかわからない。たとえば、野球選手になりたいと思ったって、次の日にイチローに会えないじゃないですか。「会えるんだ!」って(笑)。その日の僕は明らかにキャッキャしてたと思います。まだ23歳、昨日まで見る側というか、かなり痛いお笑いファンですから(笑)。その様子を見ていたのか、総合演出の三宅恵介さん(※1)に最初の日に言われたのが「空気を読めるようになれ」。でも、その頃はまだ「空気を読む」って言葉は演芸用語、楽屋用語みたいなもので一般的ではなかったんですよ。だから自分の感覚で、なるほど、今日からはプロの世界だぞ、と言われたんだと。

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フジテレビ・チーフゼネラルプロデューサー片岡飛鳥氏

 もちろんしっかりパワハラを受けながら育つわけですけど(笑)、それは別にイヤじゃない。だって、それぐらい厳しい世界だと覚悟をして入ってきてるし、怒られるようになって初めて自分の存在がディレクターの視野に入れてもらえた、みたいな。最初数週間はほぼ無視されてましたからね(笑)。とにかく高校生の頃からあれだけ憧れていた(→#2)世界の入口にたどりついた多幸感がありました。

 いまのテレビの世界では考えられないですけど、『ひょうきん族』はあれだけのスターが揃っている中で、毎週水曜日にたった1日で撮るんですよ。「タケちゃんマン」の三宅組と「ひょうきんベストテン」の荻野(繁、※2)組とに分かれていて、「タケちゃんマン」のスタジオにはたけしさん、さんまさんがいる。「ベストテン」のスタジオには(島田)紳助さんや鶴さん(片岡鶴太郎)や邦ちゃん(山田邦子)がいて。2つのスタジオで同時進行で撮っていく。だけど、演者たちはどっちも行ったり来たりしなきゃならない。当時ADは5人いたんですけど、それぞれのスタジオにチーフとセカンドが2人ずついて、一番下っ端の僕が両方のスタジオのサードADを兼ねている。体はひとつなのにあり得ない。働き方が改革される30年前の話ですけど(笑)。