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連載『めちゃイケ』、その青春の光と影

「編集で何とかします」が一番ダメなディレクター

 たとえば、「編集は直感を信じてやりなさい」と。要は、収録を終えたあとで山のような素材と向き合って、何回も何回もその素材を繰り返し見ていると何が面白いのかだんだんわからなくなって、編集した結果、「こんなもん、作りたかったんだっけ?」みたいなものが出来上がるのが“若手ディレクターあるある”なんですよ。若いときほど自分の感性に自信がないから、そういうことに陥りがちで。星野さんの言いたいことは「収録現場で何を見て笑っていたのか?」ってことかと。自分が現場で手を叩いて笑っていたり、楽しんでいたことが一番面白いことだと感覚ではわかっているはずなのに、編集室だとか小さい会議室で素材を繰り返し見ているうちに、頭で考えすぎて初志を見失う。だから「直感で笑ったことがすべてなんだ」と。

 加えて星野さんは「編集で何とかしようというのは一番ダメなディレクター。そもそもプロなんだからつまらないものを撮ってきちゃいけないんだよ」と。いわゆる撮れ高が低いときに現場では「編集で何とかします」と言いがちなんだけど、それを星野さんは許さなかった。だから編集に時間をかけるんじゃなくて、収録に行く前に時間をかけなさいと。事前のあらゆるコミュニケーションもうまくいって、準備もうまくいって、収録がうまくいったら、あとは面白く撮れたものを編集するだけというのが星野さんの考え方。

 裏返せば、いい加減なものの作り方をしていると、しょうもない素材が残ってつまらないと思いながら編集でゴマかすという地獄のシークエンス(笑)になるということだと思います。三宅さんと星野さん、この2人の考え方が、いまだに演出家としての僕の根底にあります。

#4 「飛鳥さん、起きてください!」 『いいとも』8000回の歴史で唯一“やらかした”ディレクターに へ続く

#1 『めちゃイケ』片岡飛鳥の告白「山本圭壱との再会は最後の宿題だった」
#2 「岡村さん、『めちゃイケ』…終わります」 片岡飛鳥が“22年間の最後”を決意した日 

#5 「160cmもないでしょ?」『めちゃイケ』片岡飛鳥と“無名の”岡村隆史、27年前の出会いとは
#6 「ブスをビジネスにする――光浦靖子は発明をした」『めちゃイケ』片岡飛鳥の回想
#7 「『めちゃイケ』はヤラセでしょ」という批判 フジ片岡飛鳥はどう考えてきたか

#8 「加藤のマラソンが間に合わない…」『27時間テレビ』片岡飛鳥がナイナイの前で泣いた日
#9 「僕が岡村を休養まで追い詰めた…」『めちゃイケ』片岡飛鳥の自責と“打ち切りの危機”​​
#10 「最高33.2%、最低4.5%」『めちゃイケ』歴代視聴率のエグい振り幅――フジ片岡飛鳥の告白
#11 「さんまさんを人間国宝に!」ネット時代にテレビディレクター片岡飛鳥が見る“新たな光”とは?

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※1 三宅恵介…1949年生まれ。『オレたちひょうきん族』の「ひょうきんディレクターズ」のひとり。クレジットは「三宅デタガリ恵介」。『あっぱれさんま大先生』や『明石家サンタ』など明石家さんまの番組ディレクター・プロデューサーを歴任。
※2 荻野繁…1948年生まれ。『オレたちひょうきん族』の「ひょうきんディレクターズ」のひとり。クレジットは「荻野ビビンバ繁」。
※3 小松純也…1967年生まれ。『ダウンタウンのごっつええ感じ』、『笑う犬シリーズ』などの演出を担当。この春、フジテレビを退社しフリーディレクターに。『チコちゃんに叱られる!』や『人生最高レストラン』などを手がけている。片岡とはお互いが若い頃からの同僚で、一時は管理職としても机を並べた盟友である。
※4 星野淳一郎…1960年生まれ。『夢で逢えたら』、『ダウンタウンのごっつええ感じ』などの演出を担当したフリーディレクター。2017年死去(享年57)。
※5 横澤彪…1937年生まれ。『THE MANZAI』『笑っていいとも!』『オレたちひょうきん族』などを立ち上げた名物プロデューサー。
※6 佐藤義和…1948年生まれ。『オレたちひょうきん族』の「ひょうきんディレクター」のひとり。通称「ゲーハー」「サトちゃん」。『夢で逢えたら』のプロデュースではダウンタウンとウンナンを見出し、『夢がMORIMORI』ではSMAPを初めてバラエティの世界に起用した。
※7 吉田正樹…1959年生まれ。『夢で逢えたら』、『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば』などの演出、『新しい波』、『とぶくすり』、『笑う犬シリーズ』などのプロデュースを担当。現在はワタナベエンターテインメント会長。

 聞き手・構成=てれびのスキマ(戸部田誠)
写真=文藝春秋(人物=松本輝一)

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