「忖度おじさん」塚田一郎氏の名スピーチ
さて福岡県知事選だったが、福岡以外の有権者にも参考になることがあった。
そう、国交副大臣だった麻生派の塚田一郎氏の「忖度」発言である。安倍首相と麻生氏の選挙区を結ぶ道路建設について熱弁した。ポイントは麻生氏の推す候補の応援集会で出たこと。
《吉田(博美・自民参院)幹事長が私の顔を見て、「塚田分かってるな、これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ」と。私、すごく物わかりがいいんです。すぐ忖度します。「分かりました」と。》(朝日新聞デジタル4月2日)
何度読んでも名スピーチである。
忖度、忖度というが「分かってるな」と具体的に言ってくる人がいることを教えてくれた。つまりこれはもう忖度ではない。あらゆる場面で同じことがおこなわれているのだろう。
塚田氏は否定しながらも辞任という謎の行動をしたが、日刊スポーツの名物コラム「政界地獄耳」(4月6日)は、
「実は国交相は14年12月の第2次安倍内閣発足以来、公明党枠。国交省関連の陳情は自民党の副大臣が取りまとめる慣習がある。自民党にとっては副大臣が大臣の役割を担う。それが塚田の“忖度”発言を生んでいる」
という「自民党幹部」の打ち明け話を載せた。さすが地獄耳師匠である。さらに「自民党の身から出たさびでもあり、塚田の首だけでは済まなくなる」とダメ押し。
東京新聞には、
《地元の道路整備に関し「私が忖度した」と集会で訴えたのも、公共事業への関心が強い自民党支持層の票を奪い合う中で出てきた発言だ。》
という解説も(4月8日)。
必死の子分がここまで演説で「頑張った」のに負けてしまった麻生太郎。今後も居直り太郎でいられるのだろうか。
ちなみに二階幹事長も、
「『二階王国崩壊の危機』現実味 和歌山県議選で現職落選」(毎日新聞4月8日)
「二階氏 神通力に衰え、自民参院選へ正念場」(産経新聞4月9日)
という結果に。
政権を支える皆さん、大丈夫ですか。
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