佐々木朗希のボールには勝敗を超越した力がある
もちろん、早期公言するには、その価値に見合った逸材でなければならない。今年なら、佐々木朗希(大船渡)しかいない。
「たかが高校生でしょ? そんなにいいの?」と懐疑的な人には、「そんなにいいです」と答えたい。幸運にも最速163キロを叩き出した現場に立ち会うことができたが、その殺気すら漂うボールを見れば、誰でもモノの違いをはっきり感じられるだろう。
もちろん、野球は速い球を投げられる投手が勝つわけではない。完成度の高い奥川恭伸(星稜)のほうが、野球人生トータルで佐々木より勝つ可能性もある。
しかし、佐々木のボールには勝ち負けを超越した魅力がある。その1球を見ただけで、「今日は凄いものを見た」と思える納得感。巨人が求めるべき「わかりやすさ」が佐々木のボールにはある。
佐々木は現在、高校最後の夏に向けて準備を進めている。地元の仲間とともに並み居る強豪私学を倒し、公立高の大船渡を甲子園に導く。まずはその挑戦を見守りたい。
そして佐々木の夏の戦いが終わったその日、原監督が会見を開き「ウチは佐々木くんでいきます。ぜひ、ジャイアンツのために力を貸してほしい」とコメントを寄せる。そのタイミングでの公言がベストではないかと勝手に妄想している。
何度も言うように、最後はくじ引きによる運頼みになる。それでも、宝くじは買わなければ当たらない。チーム成績も育成も上向きの今だからこそ、巨人は佐々木朗希という球界の宝にどう向き合うのか。
球団の姿勢をファンが認めたそのとき、「巨人のドラフトはクソ」という声は聞こえなくなっているはずだ。
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