航空自衛隊のステルス戦闘機F-35Aが青森県沖で消息を絶ってからすでに2週間以上が経つが、未だにパイロット、機体ともに発見されていない。捜索のために、米軍は民間の潜水支援船「ヴァン・ゴッホ」を、日本も海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海底広域研究船「かいめい」を投入すると報じられている。今後は海底の捜索が本格化し、見つかった場合は引揚げが試みられることだろう。

消息を絶った自衛隊機と同型のF-35A(航空自衛隊サイトより)

 今回の事件を契機にF-35に注目が集まり、事故を理由にした欠陥機論まで叫ばれている。一方で、F-35は米軍のみならず、米国の同盟国の大半が将来装備する可能性が高い戦闘機であるのも事実だ。このようなF-35固有の特徴について、本稿では従来の戦闘機と異なる点を中心に解説したい。

3軍の戦闘機・攻撃機を共通化する

 F-35の特徴として、「ステルス」であると説明されることが多い。実際にその通りなのだが、F-35は機体から運用システムに至るまで、従来の戦闘機とは異なるアプローチを取り入れている。しかも、それらは民生分野で馴染みのあるものだ。

ADVERTISEMENT

 もともとF-35は、統合打撃戦闘機(JSF)計画として1990年代にアメリカでスタートした。それまで米空軍、海軍、海兵隊で別々の機種が採用されていた戦闘機・攻撃機を一機種とその派生型に統合して置き換えるという野心的な計画で、共通化によるコストダウンを目指すとともに、米軍のみならず同盟国での採用も主眼に置いていた。

現在は自衛隊三沢基地に配備されているF-35A(航空自衛隊サイトより)

 このため、JSF計画には各国からの参加を募り、出資割合に応じて設計への発言権や、生産の割当、情報へのアクセス権といったものが与えられることになった。これには英国を始めとした8カ国が加わり、出資配分ごとに階層が設けられた。

 日本も米国の有力な同盟国ではあるが、この8カ国に日本は入っていない。米国以外も交えた国際的な兵器共同開発になるため、当時の武器輸出三原則に抵触していたことも理由に挙げられるだろう。しかし、出資はしていないものの、日本国内にF-35の最終組立・検査施設(FACO)が設置されるなど、良い条件でF-35が導入されている(もっとも、FACOによる自国組み立て機導入は打ち切られる見込みだ)。

 日本では2018年1月にF-35が三沢基地に配備され、最終的には140機体制で運用されるという。