「おら、アイドルになりてえ!」本人意思のないヒロインの姿
が、18歳になったなつはなんだかふわっとしています。柴田家の人々の前で泣いた日から彼女の中でなにかが変わったのだと理解しつつ、自分で道を決め切り拓いていくというよりは、周囲の人が提示したことにふんわり乗っているという印象。
いや、別に今すぐ「おら、アイドルになりてえ!」とか「女子のための大学校を!」とか宣言して欲しいわけじゃないんです。ただ、本人の意思が明確でないのに、周囲になにかとアゲられ、道を用意されるヒロインに感情移入はしにくいよね、とも思う次第で。
第7週「なつよ、今が決断のとき」
— 【公式】連続テレビ小説「なつぞら」 (@asadora_nhk) 2019年5月12日
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このヒロイン像は『なつぞら』脚本家・大森寿美男氏のひとつの意図でもあるようです。大森氏はNHKオンラインのインタビューで「自分の意思を貫いて生きていくヒロインではないと思いました」(中略)「人の心に流されながら、出会いと関わりのなかで、人生を見いだしていくヒロインだと思ったんです」と語っており、まあ、脚本家の意図がそうなら……はい。
『アルプスの少女ハイジ』のおんじから『真田丸』の真田昌幸へ
キャラ変という意味では草刈正雄演じる泰樹もなかなか激しい。主人公を厳しく導き、あたたかく見守る『アルプスの少女ハイジ』のおんじから、いつの間にか御家のため、なつと孫との政略結婚(?)をもくろむ『真田丸』の真田昌幸に。おんじ、気持ちは分からなくもないけれど、SNSでの株はダダ下がりだよ。
次にストーリー展開。特に第5週【なつよ、お兄ちゃんはどこに?】での“偶然の羅列”にはネット上でかなりのザワつきがありました。
空襲をともに生き延びた佐々岡(工藤阿須加)が十勝を訪れたことをきっかけに、なつは生き別れの兄・咲太郎(岡田将生)を探すため、富士子とともに東京へ。
佐々岡と合流したふたりは、新宿の有名店・川村屋でマダム(比嘉愛未)から街の実力者を紹介され、浅草の劇場で働く咲太郎を発見……って、早っ! 何年も音信不通で佐々岡も見つけ出せなかったはずなのに。