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警察に捕まる兄を置いていくなつと、自らを貫き続ける夕見子

 さらに柴田家と付き合いの深い帯広の和菓子店・雪月の主人、小畑雪之助(安田顕)もかつて川村屋で修業していたとか、佐々岡が去ったのときっかり入れ違いに、なつの友人・天陽(吉沢亮)の兄で東京の大学で美術を学ぶ陽平(犬飼貴丈)が店を訪れ、なつをアニメーションの制作スタジオに連れていくとか、いくら東京編の前振りだといってもさすがに偶然起きすぎモード。

 ねえ、なつ、やっと会えたお兄ちゃんは警察に捕まり、妹の消息もはっきりしない中、アニメのスタジオに見学に行っちゃって大丈夫なの。兄妹のことはいいのかい?

ヒロインの兄・咲太郎を演じるのは岡田将生 ©AFLO

 だんだんアラ探しみたいになっていますが、半年続く朝ドラでは物語の芯の部分さえ魅せてくれれば、些末なことは気にならないんです。枝葉の部分が気になってしまうのは、やはりなにかが大きくブレているからで。

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 そんな中、ブレずに自らを貫き、多くの視聴者から共感を得ているのが柴田家の長女・夕見子(福地桃子)のストレートな物言い。

 なつが演劇の稽古で迷っていると「やるなら人のためじゃなく、自分のためにやりなよ。だったら応援する」、雪原の中では「私にはなんもないから、自分の生きる場所は自分で選べるような人間になりたい」と、要所要所でズバっと語るその言葉は真っ直ぐこちらに届きます。

美少女・広瀬すずと、そのお膳立てをする笑顔爽やかなイケメンたち

 一見、わがままに育てられた意地悪なお嬢さんかと思いきや、じつは誰よりもなつを理解し、柴田家への恩から彼女を十勝に縛り付けてはいけないと思っている夕見子の存在が、今後の大きな鍵になる予感も。

 子役時代には“ネオ朝ドラ”になるかも、と毎朝テンション高く観ていた『なつぞら』。ですが、自分の美少女ぶりにも周囲からの好意にも気づかないヒロインと、彼女のためにさまざまなお膳立てをし、笑顔を見せるイケメンたちを見ていると、これは……少女漫画か乙女ゲーの世界なのか、と若干、ムズムズしてきました。照夫兄ちゃん、切なすぎるよ。

 なつよ、100作目の朝ドラでお前はどこに行こうとしているのか。