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「文章は短く、ダラダラ説明しない」は、効果的に話を聞かせるための基本だ。確かに、短い文章が重ねられて余計な表現がなければ、それが失言だったとしても、わかりやすくインパクトは大きい。「そりゃ総理とか副総理がそんなこと言えません。でも私は忖度します」。塚田一郎前国交副大臣の失言は、ある意味では対策(1)を実践した結果だったのだ。

「忖度」発言で辞任した塚田一郎前国交副大臣 ©時事通信社

メディア対応の基本を知らない政治家が少なくない

 2つ目の注意書きは「報道内容を決めるのは目の前の記者ではない」。メディア対応・対策は政治家として重要項目であるため、発言が丸ごと報じられるわけではなく、視聴者を意識した編集が入ると懇切丁寧に解説。この丁寧すぎるところがこのマニュアルの良い点だ。裏を返せば、それだけメディア対応の基本を知らない、わからない政治家がいるということでもある。

「目の前の記者を邪険に扱わない」「丁寧に対応」「親しい記者の取材も注意」。もっともな注意点が挙げられ、あの大臣やこの大臣の歪んだ顔が浮かんでくる。丁寧なマニュアルに沿って対応していれば、マニュアル作成がもう少し早ければと悔しがっているかもしれない。

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注意を促したい党内事情でもあるのだろうか

 注目すべきは「タイトルに使われやすい『強めのワード』に注意」。表現が強くなる可能性のあるパターンを具体的にわかりやすく5つに分類している。分類を見れば、このところ自民党で勃発した舌禍事件がおさらいできる。

「LGBTは生産性ない」で物議を醸した杉田水脈衆院議員 ©AFLO

「歴史認識、政治信条に関する個人的見解」には、「謝罪もできず長期化の傾向」と但し書きがついている。わざわざ但し書きをしたのは、注意してほしい人物に面と向かって言えないけれど、注意を促したいという党内事情でもあるのだろうか。

「ジェンダー(性差)・LGBTについての個人的見解」「事故や災害に関し配慮に欠ける発言」「病気や老いに関する発言」「気心知れた身内と話すような、わかりやすく、ウケも狙える雑談口調の表現」。分類ごとに政治家の顔が浮かび、問題が何なのか、何がどういけなかったのか即座に飲み込める。ここでは、誰もがスマホで写真や映像を発信できることを意識すること、発言をコントロールする大切さも指摘されている。