すべての部署がタイトル獲得に向けて本気
――鹿島と言えば、組織の強さがあると思います。鈴木満強化部長いわく「編成は強化の仕事」。厚すぎず薄すぎずの編成を心掛けることによって若手にもチャンスが与えられるような枠組みにしています。また強化部門だけではなく、事業や運営も現場とのコミュニケーションが非常に多いように感じます。
「鹿島というクラブは現場だけじゃなく、すべての部署がタイトル獲得に向けて本気で取り組んでいます。たとえばCWCの登録メンバーは23人のみでした。でも強化は登録外の選手も全員、大会に連れていくという判断をしてくれました。これは全員で勝つんだぞというメッセージ。クラブにはとても感謝しています」
――強いチームをつくるには何が大切だと思いますか?
「ウチのクラブで言うならば基本的な部分を突き詰めることプラス、闘う姿勢、勝負をあきらめないことを90分やり続けることができるかどうかじゃないですかね。それも全員でやらなければならないということ。組織としては、クラブが一体となってタイトルを本気で目指すということだと思います」
――座右の銘じゃないですけど、好きな言葉はあります?
「
――これまで石井監督が語っていることとうまくリンクしている言葉ですね。
「そうだと思います。基本を毎日、積み重ねていくことが大切ですから」
バルセロナの守備の個人戦術が僕は好きですね
――失礼ですが、石井監督には真面目というイメージを持ってしまいます。息抜きできる時間などありますか?
「自宅で海外のサッカーを観るときが、いい息抜きですね。勉強もかねて」
――サッカーを観るのも仕事じゃないですか!
「いやいや息抜きです、本当に(笑)。小学3年生の娘が寝る9時ぐらいに僕も寝て、午前3時に起きて欧州の試合を観るのが好きなんです。だってテレビを独占できますし、じっくり大好きなサッカーを誰にも邪魔されずに観ることができるわけですから」
――どこのチームを観ることが多いですか。
「好きなのはバルセロナです。パスワークもいいですけど、ボールを奪いに行く守備の個人戦術が僕は好きですね。勉強になります」
――では最後に。今シーズン、チームとして個人としてどのような目標を立てていますか?
「どのタイトルも取りに行くのが鹿島ですが、まだ取ってないACL(AFCチャンピオンズリーグ)は取りたいですね。アジア王者として、またCWCに出たいです。CWCは最高の舞台でしたから、絶対にまた出たい。個人的には、監督という魅力ある仕事を長くやっていくためにも経験値を上げていければいいかなと思います」
いしい・まさただ 1967年生まれ。千葉県出身。選手としてはJ1通算95試合出場3得点。93年のJリーグ開幕年にはボランチとして活躍し、ファーストステージ優勝に貢献。現役引退後、アントラーズのコーチに就任し、2015年7月より現職
写真=杉山拓也/文藝春秋