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「月に1度、決まった時間だけ子どもたちと遊んで、自分たちは帰っていく。その後、子どもたちは元の日常に戻らないといけないわけじゃないですか。正直、『残された子どもたちはどうなるの?』という気持ちがありました。

「星美ホーム」の副施設長・立入聡さん

 でも、ボランティアのみなさんが一生懸命取り組んでくれて、子どもたちとの関係性もできていった。私たち施設職員は親代わりなので『あるべき姿はこうだ』という感じで子どもたちと接するんですけれども、そうではない関わり方ができるボランティアさんたちの存在は、子どもたちにとってまた別のメリットがあることを意識するようになったんですね」

退所者とも自然と「持ちつ持たれつ」に

 19年前から「星の子キッズ」で活動してきたボランティアの杉本隆庸さんはこう話す。

「子どもたちにとっては、第三者的な、友だち的な立場の大人というイメージでしょうか。何かがうまくいっていないときほど親には言いづらいという気持ちが子どもにはあるみたいで、施設の先生に言えないことを相談されることもあります。

杉本隆庸さん

 今では退所した子たちがボランティアとして一緒に活動してくれたり、彼らの里帰りの場となっている地元の夏祭りに『人手が足りない』というと手伝ってくれたり、持ちつ持たれつですね。なにか意識していたわけではなくて、自然とそういう関係になっていったというか」

長く関わっていると、子どもたちの「その後」が気になってくる

「退所者支援のほうも手伝ってもらっているんですよ」と立入さんが言うと、11年前からボランティアとして活動している山北千束さんは「勝手に名乗っているようなものですけれども」と謙遜しながら、こう話してくれた。

「子どもたちを、小学生や中学生の頃から見ていると、自然とその先が気になってくるものなんです。退所した後も元気にしてるかな、仕事うまくいってるかなって。

山北千束さん

 古株のボランティアそれぞれが退所者の子たちと個人的につながって、一緒にご飯に行ったりしていたんですが、2、3年前にそうしたことをしている4、5人に改めて『星の子キッズ++(たすたす)』と名前をつけて、グループにしました。退所者の子から相談があれば、皆で一緒に悩んだり、場合によっては施設の職員さんにアドバイスを頂いたりしています」

 杉本さんや山北さんといった古株ボランティアに直接連絡が来なくても、退所者の同期が「あの子が困っている」と知らせてくれることも多いという。施設職員以外の大人と、児童養護施設出身者の関わり方として理想的に思えるが、他の施設でもこうした関わり方は可能かと聞くと、杉本さんはしばらく悩んでからこう答えた。