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3つ目の「ヘン」は……

 今シーズンの西川の打撃は3、4月は少々低空飛行気味であったが、令和に入った5月1日から連続試合安打を続け、山崎隆造の26試合を抜いて球団歴代2位の27試合に記録を伸ばしている(6月5日現在)。この打撃の安定には「5番・レフト」に定着したことが大きいだろう。西川本人は打撃と守備を「自分の中では別物だと思って割り切るようにしています」(注5)と語る。しかし昨年慣れない三塁守備でリーグワーストとなる17失策を重ね、出場機会が限られていたことを思えば、外野に転向して安定した守備を見せ(現在まで失策0)、スタメン出場が増えたことで打撃にも好影響を及ぼしていることは想像に難くない。

 西川はイチローについて「小さなころからあこがれていました。外野をやり始めたころは、グラブはイチローさんのモデルでした」(注6)と述べる。また、打撃についても「同じ左バッターだし、イチローさんみたいなタイプを目指したい。究極はそこじゃないかと思うんです。あまりまねはできないですけどね」(注7)とも言う。今後西川の記録はどこまで伸びるのか。そしてイチローのような外野手になっていくのだろうか。

「5番・レフト」でスタメンに定着した西川龍馬 ©文藝春秋

 ここで実はもう1つ、西川とイチローの共通点に気が付いた。それは両者ともしばしば「変なTシャツを着ている」ことである。イチローは毎年のキャンプ時に「人の金で焼き肉が食べたい」「ひじき」など面白メッセージが書かれたTシャツや、キャラクターや企業ロゴのパロディTシャツを着用して話題をさらっていた。一方でファッションにこだわりを持つ西川も、表に「長男」、裏に「俺はまだ本気出してないだけ」と書かれたTシャツを、高校の後輩・平沼翔太(日本ハム)と色違いで着用し自身のインスタグラムに掲載している。

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「偏食」「変態打ち」「変なTシャツ」。これはそのまま西川、そしてイチローの非凡さを表す要素であるように思う。今後の西川の打撃に注目するとともに、面白Tシャツのバリエーションが増えていくことも密かに期待していきたい。

今後西川に着てほしいTシャツ ©オギリマサホ

(注1)フジテレビ「スポーツLIFE HERO’S」2018年2月11日
(注2)『Number』770号・2011年1月27日
(注3)『広島アスリートマガジン』2018年3月号
(注4)『野村のイチロー論』幻冬舎・2018年
(注5)『広島アスリートマガジン』2019年4月号
(注6)(注7)『週刊ベースボール』2019年3月25日号

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