文春オンライン

“努力の人”だけではない 阪神・原口文仁の凄みと忘れられない寮でのできごと

文春野球コラム ペナントレース2019【対戦テーマ:関西対決】

2019/06/15
note

几帳面すぎ? 忘れられない寮でのできごと

 野球の凄さはもちろんなんですけど、一番、記憶に残っているのが、寮で食事をしている時の話で……。僕がまだ1年目で、たまたま隣が原口さんで、テーブルの端で食べていたんです。原口さんは、誰がいても、いなくても「いただきます」と「ごちそうさま」を必ず言う人で、すごいなと思っていたんですけど、それだけじゃなくて、食べた後に、置いてあったテレビのリモコンをテーブルの端キチキチにきっちり合わせて帰ったんですよね。エアコンのリモコンとかも全部ですよ。それで揃えた後に「よしっ」と言って部屋に帰っていったんです。僕も寮に入ったばかりだったんで“これ寮で絶対にやらなあかん決まりなんかな”と思って(笑)。他の人に確認したら、原口さんだけがやってると分かったんですけどね。

 お風呂でも一つあって、洗面器が逆さを向いて10個ぐらい重なって置いてあるんですけど、原口さんは、使った後に普通に重ねて片付けていたんですけど、洗面器の裏の小さい丸型の薄い枠の中に水を入れ始めて。水面張力……あ、間違えました。表面張力って言うんですかね。ピターっと、したたり落ちないギリギリまで水を入れてそれを確認したら、また「よしっ」と言って帰っていったんですよ。この時も僕は1年目だったんで、これも“やらなあかん決まりなんかな”と思って……。すごいところに来てしまったなと思ってたんですよね。  

 几帳面というか、それぐらい何事も完ぺきにこなされる人なんだと思います。今年も2軍の試合を見に行った時も「お! にっしゃん!」と声をかけてくれて、ほんまに嬉しかったです。これからずっと1軍にいると思うので、甲子園にも絶対に応援に行こうと思ってます。ファンの方は“努力の原口さん”とかそういうイメージを持たれてると思いますけど、僕の中では、これからも“表面張力の原口さん”ですけどね。

ADVERTISEMENT

 きょうからのオリックスとの関西ダービーでも間違いなく、打ちまくってくれるはずです。根拠は無いですけど、僕の予言は、そこそこ当たりますよ。

構成/チャリコ遠藤

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2019」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/12167 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

“努力の人”だけではない 阪神・原口文仁の凄みと忘れられない寮でのできごと

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
文春野球学校開講!

文春野球コラム

阪神タイガースの記事一覧