とにかく羨ましい! この選手と話していると、こんな性格になりたいなぁ~といつも思うのです。「いい性格していますよね!」。チームメイトからもそんな声がよく聞かれます。
私が羨望のまなざしで見つめているのは才木浩人投手です。
おととい(5月12日)は悔しい今季初黒星を喫しましたが、昨季は19歳にして6勝を挙げ、今季もさらなる飛躍が期待される若き右腕。189㎝の長身、手足の長さ、バネ、そしてなんといっても性格! 令和のタイガースを代表する大投手になる予感がぷんぷんします。
みんなが羨ましがる性格は“とにかく前向き”なところ! 打たれて落ち込んでも「次!」とすぐに気持ちを切り替えられるのです。それは野球自体を楽しんでいるからこそだと私は思います。
監督をも驚かせる強心臓
初めてそう思ったのは、才木投手のプロ1年目。ファームの試合が甲子園で開催された時でした。高校時代は甲子園に縁のなかった才木投手が聖地のマウンドに初めて立つ日。ファームの試合といえども、憧れのマウンドでの公式戦は少なからず緊張したはず。と思っていた私をこの時18歳の少年は見事に裏切りました。楽しくて仕方なかったという才木投手はやや興奮気味にその日の感想を述べました。
「いつもコーチに言われたことなどを書いているノートがあるんですけど! その日はね! 『ここで投げられて嬉しい! この気持ちはうまく言葉にできない!』って書いたんですよ! 今まで投げた球場とは全然違いましたね!」
入団してから欠かさずつけているノートに記された言葉。いつもはノートの線に沿ってボールペンで書くそうですが、この日は太いマジックで線を無視してデカデカと4ページに渡って書いたといいます。それだけで、興奮具合が伝わり、どれだけマウンドを楽しんだのかがわかります。こりゃ大物や! そう思ったのは私だけではありませんでした。
当時は現役選手だった安藤優也育成コーチも笑いながら振り返ります。「初めてのキャンプでみんなの前での一発芸も平気でやるし、めっちゃ面白い奴が入ってきたなって思ったよ。ポジティブだし、いい性格してるなと思ったね!」ブルペンで並んだ時には投げるボールにも圧倒されたといい、「これはすごい投手になると思ったわ。今でも才木は“金の卵”やなと思ってるんよね!」と大絶賛です。
矢野燿大監督もシーズン前に「才木めっちゃおもろいねん! 『開幕投手やりたいか?』って聞いたら、『はい! やりたいです!』って平気で言うねん。あの若さで内心思っていてもなかなか言えないやろ? それをあいつは言えるねん! 面白いわ!」というように、監督をも驚かせる強心臓です。若手選手が毎日提出している野球日誌に“今日のひとこと”という欄があり、そこにも首脳陣を大爆笑させる“才木語録”を綴っています。
キャンプ中には「沖縄を制する!」。
ある日は「やればできる子才木の子!」。
どこまでも前向きで、ユニークな言葉が並びます。