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4割打者よりも“チームの優勝争い”

 そんな数あるエピソードの中でも、僕が一番好きなのは、誰もが夢に見た4割打者への挑戦の時。

 89年開幕から絶好調だったクロマティ。なんと! 96試合を終えての打率は.401。更には、この時点で既に規定打席に達していたので残り試合を全て休んだとしても、どんな天才打者でも決して届かなかった“夢の4割打者”になれる状況。しかし、なんと! クロマティは優勝争いの中ということで、チームの勝利の為に欠場せずに試合に出続けます。その結果として、シーズン終了時の打率は4割を切ってしまい.378に。(※それでも凄すぎる打率なのだけど)

 そうなんです! 個人記録よりも“チームの優勝争い”に重きを置いて、更に実力と人気を兼ね備えた最強助っ人外国人こそ、僕らのクロマティなんです! そして、この年、見事にジャイアンツは日本一に! 更に、クロマティは20勝を挙げた斎藤雅樹投手を押さえてMVPに輝く。僕にとってはそれが唯一の救いだった。ちなみに、この打率はジャイアンツの球団記録で未だに破られてはいない。

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1989年に球団記録となる打率.378を記録 ©文藝春秋

 クロマティの退団以降、あんなに勝負強くて、明るくて、みんなに愛されるパーフェクトな外国人助っ人がジャイアンツにまた来てくれたらなーなんていつも思ってる。というわけで、49番の元祖・クロマティが最も輝いた89年。そして、奇しくもその年に生まれ、現在、背番号49を受け継いだヤングマン投手、応援してるっす!

 是非ともクロマティを見習って、勝利試合にはライトスタンドに向けて『ヤングマン』をお客さんと共に踊ったりしても良いんじゃないかなーなんて思っちゃったりします(笑)。少なくとも僕は、小学校の頃にクロマティが居なければ、ジャイアンツはおろか野球ファンにすらなってなかったのかなあと。だから、助っ人外国人こそ“小学生の記憶に残る”活躍はもちろん、パフォーマンスもしてほしいなんて思うんです。そんな使命がジャイアンツの49番にはある気がするから。

東京ドームで観戦する筆者

 そして、今日も僕は

「楽をしても クロウ クロウ
 苦労しても クロウ クロウ
 お前が打たなきゃ明日は雨 クロマティー!」

 と口ずさむ。

 僕にとっての永遠のスーパースター・クロマティを想いながら。

 クロマティ、バンザーイ! ヤングマン、ファイト! まずは一軍昇格待ってます!!

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