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「本人確認をするための装置を送るから住所をおしえてくれないか」
オランダ警察もさるもの。早速、マルコスに返信を送る。
「本人確認をするための装置を送るから住所をおしえてくれないか」
最初は戸惑ったマルコスだが、根は優しい人柄なのかもしれない。最終的にマルコスは住所を教えてしまった。「警察なんかに教えないでよ!笑。なんてね」とのメッセージを添えつつ。
身元さえ分かれば、あとは刑事達のお手の物。ドイツ警察は3人組の自宅を、ブラジル警察はマルコスの自宅を急襲。ひ弱なオタク達は、頑強な警察官に身柄を取り押さえられ、追跡劇は幕を閉じた。
「我々はずっと追跡を続けてきた。どんなに小さなかけらでも。ダークウェブに潜む犯罪者を突き止めるためならね」
担当した米国の検事は声明でそう振り返る。
「今回の起訴が明らかにしたのは、我々がどんなに小さいミスからでも、サイバー犯罪者の正体を暴き出すことができるということだ」(同前)
盗聴、潜入・おとり捜査。リアルの現場で培われてきた捜査当局の知恵にサイバー犯罪の知識を加え、国際連携がようやく、先進国の捜査の手を犯罪者の尻尾に追いつかせつつある。一国をのぞいて。そう、日本だ。
マンガの無許可読み放題サイト「漫画村」事件ではいちハッカーがとっくに容疑者を特定しているにもかかわらず、いまだに摘発の報を聞かない日本。「やりたいことは沢山あるが、日本の警察はあまりに手足を縛られすぎている」。警察関係者の嘆きは、そのままサイバー犯罪者をいい気にさせるだけのものだ。