教職員の解雇をめぐっては、労働審判や民事訴訟でも争われている。そうした中、過去にはショッキングな出来事もあった。
「4年前、ある高等部の教員が、なんの前触れもなく突然行方不明となったことがあります。あえて仕事を与えられなかったり、“飼い殺し”の状態だったことを苦にしていました。彼の消息はいまだにわかりません。彼は常に有期雇用での契約で先行きが見えなくなっていったようです。担任も務めており、生徒からも好かれていただけに動揺は大きかったと思います。
また、幹部職員による女性職員に対する執拗な誘いや嫌がらせなどのセクハラ行為、学苑関係者への暴力沙汰などがありましたが、彼はいまだに要職に就いています。きちんとした職場環境であるとは到底言えません」(同前)
学校が注力するテニススクール事業
橘学苑は、「文春オンライン」編集部の取材に対して、労基署からの是正勧告について事実関係を認めた上で、「今後の計画については、鋭意検討しているところです。学苑は、今回の是正勧告を真摯に受けとめ労働基準監督署の指導のもと、子どもたちの良好な教育環境の確保とともに、教職員の労働環境の改善に努めて参ります」と回答した。
しかし、どこまで「教育本位」の学校運営ができるのか。関係者からは疑問視する声も聞こえてくる。例えば、学校の敷地内で行われているテニススクール事業が象徴的だという。
「学校内にサクラドームという体育の授業用に作られた施設があります。屋内テニスコートが4面取れる大規模なものですが、平日の午前中は火曜日以外ずっとテニススクールのレッスンに使われているのです。スクールの生徒は、いわゆる“マダム”が大半ですね。夕方や土日には、学苑生徒ではない子どもが多く利用しています。
こうした収益事業に学校側が注力して、授業料や補助金が生徒に還元されなくなったという不満は保護者の間に根強くあります」(生徒の保護者)
なお、労基署からの是正勧告について、職員への説明はいまだに行われていないという。草葉の陰で土光さんは何を思うのだろうか――。