トランプゴミ箱を覗いてみると
バスルームのアメニティやリネンもトランプグッズで統一されていた。ここまでされると、トランプ・グッズのすべてをみたくなる衝動にかられてきた。着いたばかりなのに、売店に足を運ぶ。
トランプ・ネクタイやTシャツ、自著『交渉の芸術』(邦題:『トランプ自伝』)などが並ぶ。その他、トランプ・ファミリーのグッズも充実している。娘イヴァンカ・ブランドのサングラスから、次男エリックの愛犬をモチーフにしたぬいぐるみやペットグッズまである。ここまでくると、脈略がまるでない。
買う気もうせて、眠りにつく。トランプホテル・ブランドのベッドとシーツにつつまれ、熟睡できた。
翌朝は旅の疲れをいやしにホテルの地下にあるスパへ。その名は「イヴァンカ・スパ」。マッサージやトリートメントのメニューもイヴァンカだらけに違いない。昨晩からのトランプ・ファミリー一色の世界に食傷気味でパスした。
代わりに隣のジムへ。ジムにはなぜかトランプ印がついてない。押しつけがましくない点が評価できる。ランニングマシーンに乗りながら、トランプは「高校時代、ニューヨークナンバー1の野球選手」(本人インタビュー)「メジャーリーグ2球団からもスカウトされたほど」(同級生)のスポーツマンだったことを思い出した。
早くから汗を流した後はルームサービスで朝食だ。メニューをみると、案の定、トランプだらけだ。「トランプ」スターター・ブレックファスト、「トランプ」スパ・ブレックファスト……。朝っぱらからトランプから逃げられない。ホテルの外に散歩に出た。
老コンシェルジュの人生を変えたトランプ
気分転換をしてホテルに戻る。コンシェルジェのカルロスさんは若いコンシェルジェ・チームのなかで唯一、ベテランの風格が漂う人物だ。トランプから薫陶を受けた人物ではないかと直感が働き、話しかけてみた。
「以前は他のホテルで働いていた。君が手に持っているその本(トランプ著『交渉の芸術』)を読み感銘した。すぐにでも著者のトランプ氏のもとで働きたいと思い転職したんだ。もう20年も前のことだ。彼の言葉は人々をインスパイアする力を持っている。トランプさんのもとで働いたおかげで、60歳を超えても私の心の年齢は22歳。現役バリバリだ」
たしかに顔色も声色、ともに若い。
「彼はビジネスの天才。この国のために素晴らしい仕事をしてくれると確信している」