「Mステに出たい」というミュージシャンが多くなってきた
――そういう番組がある中で、かなりマニアックなことをやっている『関ジャム』のような新しい潮流の番組も出てきましたね。
そうですね。テレビ朝日で言うと『ミュージックステーション』も一時期は本当に迷走していたと思うんですよ。10代の人たちに昔のランキングを聞かせて、気になった曲を選ばせたり、ほとんど50分中30分くらい懐メロばっかりになったんです。でも最近は、そこから方向転換して、アーティストの数を減らして、しかもニューカマー枠を作って世間的にはまだ無名の人たちにパフォーマンスする場を与えているんですよね。ちょっとでも話題になったりとかすると、すぐに抜擢する。
――いま、すごくフットワークが軽いですよね。
そう、早いんですよ。「知るかよ!」みたいな開き直りがあって、結果、いまスゴいなと感じたのが、いろんなミュージシャンとお話しして目標を聞くと「『Mステ』に出たい」というのがすごく多い。やっぱりブランドとしての再復興ができたんでしょうね。『Mステ』に出たら認められた気がするという。いま尖った人たちも、バッと入れる嗅覚がある。だから『Mステ』はすごくいい状態にあると思います。その『Mステ』のチームも入り混じって『関ジャム』も作っているんですよ。『関ジャム』も一時期クイズとかをやっていたんですけど、最近スゴいですよね。マニアックな方向にぐーんと行っている。それでもちろん視聴率は難航しますけど、評価はスゴく高い。なので誰かしら上の人が舵取りをして、テレ朝の音楽班は、視聴率に「一喜一憂しない」ということを決めたんでしょうね。併せて結果も出ていますし。これで行くぞという。すごくいい舵取りをしたと思います。
写真=杉山拓也/文藝春秋