1ページ目から読む
2/3ページ目

TBSバラエティの系譜にある“ヴィレッジヴァンガード感”

 

――先ほど『HEY!HEY!HEY!』がお好きだったって仰ってましたが、音楽番組は他に何かご覧になってましたか?

『うたばん』が好きでしたね。『うたばん』も『HEY!HEY!HEY!』も、ミュージシャンを神格化しないというか、むしろケチョンケチョンにする。飯田圭織さんのことをずっと「ジョンソン」と呼んだりするような、モーニング娘。のいじり方とかも秀逸でしたし、やっぱり石橋(貴明)さんの悪ノリに乗っかる中居(正広)くんというあの構図はよかったですよね。『うたばん』の演者を大事にしない感じとか、オシャレ味を感じるあのオープニングのアニメーションとかって、『水曜日のダウンタウン』や『クイズ☆スター名鑑』に連なる、いまのTBSのバラエティの系譜の元になっている感じがしますね。“ヴィレッジヴァンガード感”というか。

――ああ、ヴィレッジヴァンガード感(笑)。

ADVERTISEMENT

 ああいうオープニングってフジの歌番組とかでは絶対に作らないじゃないですか。『マツコの知らない世界』とかもそうですけど、ちょっとサブカルっぽいオープニングの作り方はTBSって感じがしますね。

――いまの音楽番組についても聞きたいんですけど、なにか印象に残る音楽番組はありますか?

『水曜歌謡祭』の話をしましょうか……(苦笑)。地獄! いま歌番組が減ってきていて、『HEY!HEY!HEY!』もなくなり、実際、数字(視聴率)が取れないんでしょうね。CDも売れてないから、見る人がいない。音楽番組は従来の形じゃもういけないフェイズに来たんだと思うんですよね。そんな中、すごい古くさいことをやったんです。昔の曲ばっかりをいろんなアーティストがコラボでずっと歌うという。よく言われるのが、いまテレビ見てるのは5~60の高齢者しかいない。そっちを狙いつつ、若い人も取ろうと思ったんでしょう。だったら昔の曲を若い人が歌っちゃったらええじゃないかみたいな(笑)。

 名案だと思ってやったんでしょうけど、まず若い人はいまの曲を聴きたいし、高齢者の方は、昔の曲を声量が落ちた歌手では聴きたくないと思うんですよ。オリジネーターじゃないと聴きたくないし、若造がカバーしているのも聴きたくないし、だったら昔の映像を見るわ、という。しかも一番よくないのが、上から目線。ゴージャスにして、「ほら、こんな神々が集まりましたよ」「こんなスゴい夢のコラボです」「こんな素晴らしいコラボは滅多に見れないですよ」と。スゴい人かどうかはこっちが判断することじゃないですか(笑)。