今や世界的なスター選手となった、ドジャースの大谷翔平。そんな大谷と一対一で向き合い、インタビューを続けているのが、ベースボールジャーナリストの石田雄太氏だ。大谷は石田氏とのインタビューの中で、どんな言葉を紡ぎ、どんな思いを語っているのか。

 ここでは、石田氏の新著『野球翔年II MLB編2018-2024 大谷翔平 ロングインタビュー』(文藝春秋)より一部を抜粋。結婚生活について語った独占インタビューを紹介する。(全2回の2回目/最初から読む)

インタビューに応じる大谷翔平 ©文藝春秋

◆◆◆

ADVERTISEMENT

30歳を前に結婚することを決めた理由

――昨年来、WBCでの世界一、ホームラン王、2度目のMVP、ドジャースとの契約、そして結婚……本当に盛りだくさんの“おめでとうラッシュ”ですね。このたびはご結婚、おめでとうございます。

「ありがとうございます」

――野球だけという空気を醸し出しながらの結婚……大谷さんは人生の中での結婚をどんなふうに捉えていたんですか。

「そういう意味で考えれば野球も生き甲斐っちゃ生き甲斐なんですけど、私生活においては、結婚することもワンちゃんがいることも自分の生き甲斐のひとつ、楽しみのひとつなので、そういう感じですかね」

――野球選手としてのピークを30歳から35歳に迎えると仰っていた、その30歳を前に結婚することを決めた理由はどこにあったのでしょう。

「どうなんですかね……野球に関しては結婚することでのプラスはあってもマイナスはないかなと思っているので、それはそれという感じです」

――プラスに働くというのは、どんなことをイメージしているんですか。

「それはもう単純に、生きていく楽しみが増えるということです。野球をやっていれば打てない、抑えられないときもあるんですけど、もしそうなったとしたらそれは自分の実力がなかったというだけじゃないですか。そんなの、私生活のせいであるはずもなく、そこはまったく別のものとして切り離せばいいことですからね。人生って必ずしも順調にいくわけではありませんし、そういうときでも楽しみがあったほうがいい。何事においてもそれだけ充実する、ということがプラスなんだと思います」

――大谷さんは以前、「1日40時間あったらいいのに」と仰っていました。そんな野球をやるだけで忙しかった大谷さんが奥様との楽しい時間をどうやって作っていたのか、不思議です。

「彼女も働いていたので去年のシーズン中はほとんどアメリカへは来ていませんし、僕が右ヒジの手術をした後も、デコ(愛犬のデコピン)とふたりでリハビリしていましたからね。わざわざ時間を作るようなことはありませんでした」