今や世界的なスター選手となった、ドジャースの大谷翔平。そんな大谷と一対一で向き合い、インタビューを続けているのが、ベースボールジャーナリストの石田雄太氏だ。大谷は石田氏とのインタビューの中で、どんな言葉を紡ぎ、どんな思いを語っているのか。
ここでは、石田氏の新著『野球翔年II MLB編2018-2024 大谷翔平 ロングインタビュー』(文藝春秋)より一部を抜粋。ドジャースに移籍した理由を語った独占インタビューを紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)
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“名門”ドジャースの印象
――今シーズンからドジャースのユニフォームを着てみて、このチームに感じている印象はいかがですか。
「エンゼルスって和気藹々(わきあいあい)としたフレッシュな雰囲気があって、若い選手も多いじゃないですか。エンゼルスへ入団したときには僕も若手でしたし、先輩たちにも温かみがありました。今年の僕はバッターのほうでプレーしていますからドジャースでは野手の人たちと接する機会が多いんですが、野手の年齢層がけっこう高めで、エンゼルスとはまた違った感じのプロフェッショナルな雰囲気があります。
チームとして団結する側面を持ちつつも、個人としてやるべきことを大事にしているという……練習からひとりひとりが集中して、やるときはやる、エンゼルスの良さとはまた毛色の違ったスタイルを感じています」
――歴史のあるドジャースに伝統のようなものを感じることはありますか。
「今のところは、これがそうか、というものはとくになくて、むしろ名門なのにすごく柔軟だなと思うことのほうが多いですね。新しいことに対して寛容だし、新しいことをいち早く取り入れていく感性を持っている感じがします。
これだけのお金を使って、本当に優秀な人にいち早くアプローチしていく柔軟性があるし、同時にマイナーシステムも充実させている。僕はマイナーへ行ったことはありませんが、ドジャースの一番の強みは育成だと思っていて、スプリングトレーニングに来ていた招待選手やマイナーの選手と接したら、それこそ毛色の違いを感じました。僕もそれなりの歳になりましたし、ドジャースの若い子たちが何を目的に練習をしているのかを見ていたら勉強になりました」