昨年の本屋大賞第1位を受賞し、話題を呼んだ『羊と鋼の森』の映画版(2018年東宝にてロードショー)のメインキャストが発表された。

『羊と鋼の森』はピアノの調律に魅せられた一人の青年の成長物語。北海道の高校に通う外村は調律師・板鳥と出会い、感銘を受け、ピアノの調律師として生きていくことを決意。板鳥がいる江藤楽器で働き始め、ピアノと繋がる多くの人と出会い、調律師としての自分を探し求め成長していく。

 ピアノの音色に魅せられ調律師への道を進んでいく主人公・外村直樹(とむら・なおき)役には山﨑賢人さん。NHK連続テレビ小説『まれ』や、『orange-オレンジ-』、『四月は君の嘘』、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない第一章』など常に話題作に出演し、活躍の場を広げている。

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©2018『羊と鋼の森』製作委員会 山﨑賢人さん

 外村に感銘を与え、人生を導いていく調律師、板鳥宗一郎(いたどり・そういちろう)役は、『64』『葛城事件』などで多くの賞を受賞し日本映画界を支える実力派俳優、三浦友和さんが演じる。

 主演・外村役の山﨑賢人さんは、
「原作を読んで音、景色、匂い、人と人との関係、全てが繊細で丁寧ですごく優しい空気で描かれているなと思いました。才能が必要なのか、努力が必要なのか、誰の為の仕事なのか、調律師、そして、人として悩み、失敗しながらも一歩一歩成長していく外村にすごく共感しました。どの職業で生きている方にも共感してもらえるものが必ずあると思います。調律そして、森とピアノの独特の表現をどう映像にしていくのかすごくわくわくしています。そして外村直樹をとにかく一歩ずつ丁寧に生きたいと思います」とコメント。

 調律師・板鳥役の三浦友和さんは、
「一人の高校生が調律師になりたいと思うきっかけになったピアノの一音。森の匂いのする音、景色の見える音。どう映像化し、聞かせるのか、橋本監督に一読者として期待しています。我々俳優陣も原作の音色を壊さないよう、より繊細な心で臨みたいと思います」。

©2018『羊と鋼の森』製作委員会 三浦友和さん

 メガホンをとるのは、昨年32.5億円の大ヒットとなった映画『orange』の橋本光二郎監督。『orange』で「未来の自分から手紙が届くファンタジックな世界観」と「少年少女の繊細な心の動き」を丁寧に作り上げた新進気鋭の橋本監督が、小説『羊と鋼の森』の世界観に挑む。

「静かで美しいが、同時に力強いものを秘めた映画。『羊と鋼の森』は、そのような映画になってほしいと思っています。雪に包まれた北海道の地や、流麗なピアノ曲が美しいのは確かですが、それ以上に、まっすぐ、ただまっすぐひたむきに自分の仕事や人生に向かっていく人間の姿こそが何よりも美しいのだという思いが、観てくれた方々に熱く伝わってくれればと思います」(橋本監督)。

©Yoshika Horita

 ピアノの調律師という世界を繊細な筆致でつづり、日本中の読者と書店員の心を震わせた本作の著者、宮下奈都さんからは「映画化が決まったとき、ドキドキしました。うれしさだけではない、不安も混じったドキドキでした。『羊と鋼の森』は読んでくれた人の胸の中でだけ響く物語だと思っていたからです。映画では、調律によって変化していく音色をどんなふうに表現するのか、あの森の匂いを、気配を、音をどうやって映像化するのか。やれるものならやってみてください、という気持ちでした。実をいうと今もドキドキしています。素晴らしい監督と俳優陣のお名前を聞いて、今は期待でドキドキしながら、映画をとても楽しみにしています」とメッセージが届いた。

 今月から、雪の北海道で本格ロケがスタートする。音、壮大な景色、森の匂い…五感を揺さぶる美しい映画の完成が今から待ち遠しい。

©2018『羊と鋼の森』製作委員会

※山﨑賢人さん「崎の字は山+立+可」

羊と鋼の森

宮下 奈都(著)

文藝春秋
2015年9月11日 発売

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