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得点圏打率1割台でも……楽天のドラ1ルーキー・辰己涼介から目が離せない理由

文春野球コラム ペナントレース2019

 7月6日の日ハム戦に敗れ、これで8連敗となってしまった。しかし意外にも全く悲壮感はない。それは78試合終えてまだAクラスにいるからか? 貯金があるから? 間もなく則本昂大の復活があるから? いや違うよな。今シーズンなんて事じゃなく、近い将来を任せられる選手じゃないかなぁなんて薄っすらとした希望がしっかりと見えはじめたからなんだよなぁ。

 芸人もぶっちゃけ舞台や番組でスベろうが、これでやってくんだって信念やこのネタは伸びしろあるわぁなんて未来の可能性を確信できてれば、今日のお客さん、この番組の空気と合わなかっただけ。なんて人のせいにして結構平気なもんです。で受け手もその雰囲気に可能性を感じたりして追っかけたりするもの。

ここぞの場面には必ず彼がいる

 その最たる選手がドラフト1位ルーキーの辰己涼介選手ではないだろうか。ここまで62試合に出場して2割3分7厘、決していい数字だとは思わないが、この打率の選手に打席がまわってきた時の期待感を遥かにこえるワクワクを僕たちにくれるからなんとも不思議だ。得点圏打率なんて1割6分7厘。なのにチャンスで辰己選手にまわればなぜか頬がゆるんでしまう。5月8日のホークス戦は7点差をひっくり返したのだが、最後の逆転打を放った。そしてその1打が月間で最も印象深いサヨナラ打を放った選手におくられるスカパーサヨナラ賞に選ばれた。いつだったか1試合7本塁打という球団記録を作ったが、その記念すべき7本目を放ったのも彼だ。

ドラフト1位ルーキーの辰巳涼介 ©かみじょうたけし

 ランナーに出てもうるさい。5月31日ホークス戦、1点リードの8回、島内選手の浅いライトフライでスキをみてタッチアップで生還してみせたり、球団初の3重盗にもしっかりセカンドランナーとして絡んでいた。いつの時もここぞの場面、ド派手な場面には必ず彼がいるのだ。

 守備では6月12日のスワローズ戦、1点リードで先頭山田哲人選手の右中間への打球をダイビングキャッチ、6月18日は3対3の6回に先頭大山選手の左中間への打球をナイスキャッチで相手に流れを渡さない。そして今挙げた全ての試合で楽天イーグルスは勝利しているのだ。

 降雨ノーゲームのファンサービスも完璧だった。渡辺佳明、小郷裕哉がいった後、大トリで手拍子をしながらダイヤモンドを2周、見事なヘッドスライディングでお客さんを笑顔にさせた。