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広島カープ11連敗の夜に考えた、1999年の13連敗のこと

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/07/23
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のちの大エース 黒田博樹の転機

 13試合でチームの失点は105、与えた四死球は60以上、クリーンアップの打率は1割5分。さらにエラーは15、盗塁はわずか3という大よそ広島らしくない地獄の日々。気づけば球団結成時(昭和25年)以来となる49年ぶりのワーストタイの13連敗、順位は2位から最下位となっていた。

 果たして連敗はどのように止まったのか? その答えはプロ3年目の黒田博樹だった。実は黒田はこの年、一度2軍落ちを経験している。4月に巨人・杉山に死球を与えた後遺症からか、思うように内角を攻められず、初回に5点を献上するなどマウンドに上がる度にKOが続き2軍降格を告げられた。しかし本人曰く、その2軍生活が『自分を見つめなおすいい機会になった』という。“自分の持ち味はなにか?”“今のチームにはどんな投球が必要か?”自問自答の日々の中で辿り着いたのが“勝負度胸”と“速球”。自分の持ち味である2つのポイントへの原点回帰だった。

連敗を止めた黒田博樹 提供/桝本壮志

 13連敗で迎えた7月14日。先発のマウンドを託された黒田は初回から内角を攻め続けた。「味方が点を取るまでマウンドを降りない」そう言い聞かせながら、途中、足がつるなどのアクシデントに襲われながら8回3安打無失点の粘投。結果カープはこの日1-0で競り勝ち、球団ワースト記録を阻んだのである。もしあの屈辱の2軍落ちがなければ、その後エースとなり、海を渡り、カープで悲願の初優勝を果たした黒田博樹はなかったかもしれない。『2軍落ち』と黒田の言う『見つめなおし』。これは中崎翔太を始めとするV3戦士たちにも当てはまるのではないだろうか。

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 知人が「カープファンやめようかな……」と呟いてから、そんな妄想の時間旅行をしていた11連敗の深夜、彼にこんなラインを送った。

「やめてもいいんじゃない? だけど色々あって、またカープを好きになったわ」

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