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“未来志向”という片翼を奪われた形の癒やし財団は、その後、乱気流に呑み込まれるかのように迷走していく。

市民団体代表が『日本のお金を受け取ってはいけない』

 次にウソや風説を吹き込んだのは、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協=現・日本軍性奴隷制問題解決の為の正義記憶連帯)などの市民活動家らだった。

 元慰安婦が匿名を条件にこう証言する。

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「癒やし財団のお金が配られる前に、挺対協の尹美香(ユン・ミファン)代表が元慰安婦を集めて、『日本のお金を受け取ってはいけない』と演説をぶっていたことがありました。他の人からも『待てば倍のお金が出る。だから癒やし財団のお金は受け取らないように』と釘を刺されたこともあります」

「日本の汚いお金を受取るな」という主張は市民活動家たちの常套句である。勿論、その後「倍のお金」が出たという報道もなかった。

文大統領就任後、日韓合意を反故にする動きが顕著に

 そして文在寅が大統領に就任したことで、日韓合意を反故にする動きが活発化していく。文大統領の指導のもと日韓合意の再検証が始められ、18年11月には「元慰安婦は同意しなかった」などの理由で日本政府の同意もなしに癒やし財団の解散を発表した。そして、今年の6月に正式に解散させられてしまったのだ。

文在寅韓国大統領 ©Getty Images

「韓国政府は『日韓合意に元慰安婦の声が反映されていない』と主張していますが、癒やし財団の支給金事業に対して7割以上の元慰安婦が受取りを希望していたのです。元慰安婦の多くは財団の活動に反対ではなかったのです」(ソウル特派員)

 支給金を受取った元慰安婦・金紅玉さん(仮名)も当時、こう語っていた。

「財団の10億円は日本国民の税金から出たお金。私は日本国民にも感謝します。朴槿恵は母のような気持ちで、ハルモニ(元慰安婦)のために頑張って日韓合意を実現してくれた。有難く思っています」

支払いを受けていない慰安婦もいるのに、強引に解散

 こうした証言から見えてくることは、慰安婦問題解決の道を潰したいと考えている人物が韓国には常に存在しているということだ。実被害者の声を無視して癒やし財団を解散に追い込んだのは、文在寅大統領であり、彼の支援者でもある挺対協などの市民活動家たちだといえよう。

「実際に癒やし財団から支給金を申請していたのに、未だに支払いを受けていない元慰安婦や遺族もいます。つまり韓国政府は財団の活動がまだ終わっていないことをわかった上で、強引に解散させてしまったわけです。『元慰安婦の声を聞いていない』のは、むしろ韓国政府のほうではないか」(元慰安婦支援者)