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「彼女がとてもおいしそうだったから」日本人留学生が女性の遺体を食べた“パリ人肉事件”とは何だったのか

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14カ月ぶりに精神病院で面会したときの「顔つき」

 1通目の手紙で佐川氏は、

〈ルネが忘れられません。ルネが好きです。愛しています〉

 と書いていた。それが5カ月後には、

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〈ルネを殺したのは、食べる為、彼女がとてもおいしそうだったから、食べたくて殺したのです。それだけは本当です〉

 へと変わった。広岡氏の印象に残るのは、

「14カ月ぶりに精神病院で面会したとき、確信犯的な顔つきになっていた」

 ことだという。

©文藝春秋

「時間がたつにつれて、『カニバリズムの権威だから事件を起こしたんだ』と自分を正当化、あるいは無意識のうちに追い込んでいったのかもしれません。刑務所で会ったのは事件の半年後でしたが、自責の念や反省が感じられたんです。『食べたかった』とか『殺したかった』とかいう言葉は出ませんでした。

 本当に、食べるために殺したのか。殺してしまったあとで、食べようという衝動が起こったのか。いまとなってはわかりません」

©iStock.com

 佐川氏は、心神喪失状態だったとして保安処分となり、精神病院に入院したのち帰国。事件の詳細を自ら綴った『霧の中』と題する告白小説を出版している。

「彼女がとてもおいしそうだったから」日本人留学生が女性の遺体を食べた“パリ人肉事件”とは何だったのか

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