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西安餃子は予言する――ライオンズ選手の退団年度とメニューとの“奇妙な関係”

文春野球フレッシュオールスター2019

2019/07/11

※こちらは公募企画「文春野球フレッシュオールスター2019」に届いた約120本を超える原稿のなかから出場権を獲得したコラムです。おもしろいと思ったら文末のHITボタンを押してください。

【出場者プロフィール】浮間 六太(うきま・ろった) 埼玉西武ライオンズ 51歳。なにがなんでも球場で試合を観たい現場主義者で、年間100試合程度ライオンズ戦を生観戦。そして観戦した試合は全部ブログに書かずにいられないのでした。2017年より所沢のポータルサイト「所沢なび」でライター活動を開始。2018年にはTOブックスより著書「ライオンズファン解体新書」発売。

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西安餃子、その謎

 メットライフドームの延々と続く外周通路の上り坂を山に例えるならば、その七合目付近に謎深き西安餃子はある。

 西安餃子。首都圏を中心に展開する、中華料理のチェーン店。そのうちメットライフドームに出店している店舗は、小型店ゆえに餃子と麺類にメニューを絞っている。そしてこの店、汁なし担々麺がやたらと美味い。正直、餃子より美味い。ピリ辛の肉味噌は肉の旨味がよく出ていて美味いが、もっちり食感の中華麺が何より絶品である。美味い。

 ライオンズは開幕戦や交流戦、限定ユニや季節などに合わせて期間限定グルメを企画している。そんな中で西安餃子は、店名に「餃子」とあるにも関わらず、それらのグルメ企画では必ずと言っていいほど麺類を販売してきた。よほど麺に自信があるのだろう。

 一時期はやたらと麺をチーズやトマトと絡めたメニューばかり開発、餃子からも中華からも離れてシルクロードを西へ西へ、イタリア目指して謎の暴走を繰り広げていた。近年ようやっと進行方向を東へ修正、中華料理店としての本分を取り戻しつつあるが、今回迫りたい西安餃子の謎とは、そのことではない。西安餃子の大いなる謎。その名は「選手プロデュースグルメ」。

メットライフドームに出店している西安餃子 ©浮間六太

西安餃子、そのプロデュースグルメ

 メットライフドームでは、様々な店舗がその店オリジナルの選手プロデュースグルメを発売している。ご多分に漏れず、西安餃子でもプロデュースグルメを扱っているのだが、この8年間で扱ってきたプロデュースグルメの数が5つと、他店に比べてやたらと多い。

 具体的なメニューと選手名を挙げよう。

・タイタイ麺 (藤田太陽)
・亮磨麺 (野上亮磨)
・ひちょりのチョリ麺 (森本稀哲)
・岸孝之のエビとパクチーの塩味フォー (岸孝之)
・雄星のスタミナ五目麺 (菊池雄星)

 だから何だ、どこが謎なのだ、と思われるかもしれない。では、これらのメニューに販売年度と選手の在籍年度を加えてみたらどうだろう。

・タイタイ麺 2010-2012 (藤田太陽 2009—2012)
・亮磨麺 2013-2014 (野上亮磨 2009—2017)
・ひちょりのチョリ麺 2015 (森本稀哲 2014—2015)
・岸孝之のエビとパクチーの塩味フォー 2016 (岸孝之 2007—2016)
・雄星のスタミナ五目麺 2018 (菊池雄星 2011—2018)

 メニューの販売終了年度と、選手のライオンズ退団年度が同じケースが、5件中4件。唯一の例外である野上投手も、2017年オフに巨人にFA移籍している。

 プロデュースグルメを出すような人気選手だって、いつかはチームを去る時が訪れる。なにが謎などあるものか。あなたはそう思うかもしれないし、それはもっともな意見だ。しかし、藤田、野上両投手が、プロデュースグルメ販売開始からそれぞれ2年、4年後の退団であったのに対し、森本稀哲以降は発売した年のうちに3選手全員が退団している、という事実をあなたはどう受け止めるだろうか。