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「とてもかわいらしい方ですね」天皇が抱いた第一印象と、雅子さまの使命感

皇后雅子さま物語 #3

2019/07/15

genre : ニュース, 社会

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「合格して良かったですね」お礼で精いっぱいだった雅子さま

 浩宮が来客に順番に声を掛けられている。いよいよ恆さんと雅子さんの番になった。恆さんから雅子さんが外交官試験に受かったことを聞くと、浩宮は次のように語った。

「合格して良かったですね」「どんな外交官になりたいですか」

 雅子さんは外交の理想を少し話したそうだ。雅子さんの緊張をほぐすように、浩宮は、「これから頑張って」と述べられた。

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盧武鉉韓国大統領(当時)の迎賓館歓迎行事にて ©文藝春秋

 雅子さんは、浩宮にお礼を申し上げることで精いっぱいだったといわれている。わずか2、3分の会話だったが、穏やかで優しい出会いだった。そんな様子を中川氏と東宮職幹部は、少し離れたところからじっと見届けていた。これが良いきっかけになれば、という大きな期待があった。

「とてもかわいらしい方ですね」天皇陛下の雅子さまへの第一印象

 パーティの翌日、浩宮は歌手・柏原芳恵のデビュー7周年リサイタル(新宿・東京厚生年金会館)に出かけた。ポスターを留学先の英国オックスフォード大の寮の部屋にも貼っていたというほどのファンで、薔薇の花束を渡される浩宮の様子がテレビのワイドショーでも紹介された。何度も流される映像に、ある東宮職はひそかに胸を撫で下ろしていた。リサイタルの話題に隠れて、先日のお茶会が出会いの場であることをマスコミに知られずに済んだからだった。お妃候補の女性たち、特に雅子さんの存在が注目されれば、「上手くいくものもまとまらなくなる」と東宮職は危惧した。実はこの時すでに、浩宮は雅子さんについて、「とてもかわいらしい方ですね」と述べられていた。後のご婚約会見(93年1月19日)で、エレナ王女のパーティでの出会いについて、浩宮はこう語っている。

「非常に強いというか、いい印象を受けました。まず非常に控えめでいらっしゃるんだけれども、自分の思っていることをはっきりとおっしゃって、それでいて非常に聡明であるということ。それから何かこう話題にも共通性があって、お互いに心が通じ合うというような、そういう感じを強く持ちました。従ってこう非常に話していて楽しい人という……」

フランス国大統領、エマニュエル・マクロンご夫妻来日 午餐 宮内庁提供

 そんな浩宮の思いは知らず、雅子さんは、外務省に入れば時間がなくなるだろうと、習い事を始めていた。まず、パーティの1週間後には自宅近くの自動車教習所に通いはじめた。

 父娘二代外交官としての取材要請も続いており、息抜きは、東大の仲間や田雙時代の友だちに会うことだった。同級生でソフトボール部の仲間だった村岡ルリ子さんの結婚式に介添え役で出席、雅子さんはこんなお祝いのスピーチをした。

「実は中学時代、私のクラスメイトが集まって、結婚について話していたことがあったんです。その時に、結婚というのは意外としなさそうに見える人がけっこう最初に結婚しちゃったりするのよね、なんて言っていて、その時は皆が、それじゃあ小和田が最初だったりしてって、げらげら笑っていたんです。この私は、やはりというか、残念ながらその当時のまま今も結婚とは縁が遠いっていう感じなんですけど……」