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 前出の宮内庁関係者が続ける。

「だからこそ、天皇の退位を認める特例法の法案策定の過程で秋篠宮さまは皇太子の称号に難色を示され、皇嗣の称号に落ち着いたという経緯があるのです。皇嗣職の人員規模は旧東宮職とほぼ同じとなりましたが、東宮侍従長に相当する『皇嗣侍従長』は置かず、宮家に置かれる『宮務官』の延長線上にある『皇嗣職宮務官長』を置くなど、あくまでも宮家であるということを強調することで、自由度を一定程度担保されたというわけです」

 秋篠宮さまは皇嗣の立場と自由な「宮さま」の立場をうまく両立させようと腐心されているようにもみえる。今回の会見で、ポーランドとフィンランドの印象についてはこれまで通り多弁に語られる一方で、皇嗣としての立場が問われるようなご発言については原理原則に従うかのようにセーブしたとも受け取れるのだ。

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「自由な環境を捨てきれないでおられる」

「秋篠宮さまは、常時密着している側衛官(皇宮警察のボディーガード)は原則1人、プライベートはお忍びという天皇、皇太子、皇長孫では考えられない宮家の自由をずっと享受されてきました。皇位継承順位第1位という初めて経験される新たなお立場に見合った生き方を模索されながらも、その自由な環境を捨てきれないでおられるように感じます。皇位継承順位は第1位であるにもかかわらず、次の天皇にはならない可能性が高いという中途半端なお立場は『秋篠宮皇嗣殿下』という正式呼称に顕著に表れています。

7月12日、ペルー・リマの天野プレコロンビアン織物博物館を訪問され、羽毛製の織物をご覧になる眞子さま ©共同通信社

 秋篠宮さまはまだ53歳です。本来ならば、お覚悟を鮮明にされるためにも、やはり皇太子の称号を受け入れるべきだったのではないでしょうか。今回の会見では、眞子さまのご結婚の見通しについてばかりが注目を集めてしまいましたが、私たち職員はむしろ、立ち位置を模索される秋篠宮さまの苦悩と迷走ぶりばかりが目立った記者会見だったと感じてしまうのです」(同前)

 秋篠宮さまがご両親の代弁者として一定の存在感を示してこられた平成の御代は終わり、ご両親は公務を引退された。今回の会見で印象的だったのは、秋篠宮さまが事実上の皇太子でありながら、宮さまでもあるというファジーな立場ゆえの“手さぐり感”だった。