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「何かいいことが起こるのでは」雅子さまにヒラリ蝶々が止まった瞬間

皇后雅子さま物語 #6

2019/07/23

genre : ニュース, 社会

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ロイヤルブルーのブラウスで臨まれた「35歳」の記者会見

 国連大使を務めていた雅子妃の父、小和田恆さんと母、優美子さんがニューヨークから4年半ぶりに帰国した。1998年(平成10年)10月5日のことだった。恆氏は翌年に外務省を退官することになっていた。ご懐妊に向けて検査などを繰り返されていただけに、同じ女性の母・優美子さんの存在は大きかったかもしれない。皇室に入られてからは、親子であってもご懐妊に向けての話を相談できるような関係ではなくなったといわれるが、それでもご両親が近くにいるだけで落ち着かれることだろう。

 間もなく雅子妃が35歳の誕生日を迎えられるため、宮内庁も焦っていた。医学的に、35歳以上の出産は“高齢出産”と呼ばれる。皇后陛下も紀子妃殿下も25歳で初産だった。戦後の皇室で、最も初産が遅かったと言われる高円宮妃久子さまは32歳。雅子妃はこの年齢を超えられていた。

 12月9日、雅子妃は35歳の誕生日を迎えられた。東宮御所の「檜の間」では、秋になってから少しふっくらとされた雅子妃が、ロイヤルブルーのブラウスにジャケット姿で3回目の単独会見に臨まれた。

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ロイヤルブルーのブラウスにジャケット姿で臨まれた記者会見 宮内庁提供

「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」陛下との微笑ましいエピソード

 雅子妃の大きな瞳は、宮内記者たちをしっかりと捉えていた。単独会見にも慣れてきた御様子で、饒舌だった。宮内記者会から、喧嘩になった時の仲直りのエピソードを尋ねられると、

「夫婦喧嘩につきましてはご期待に添えないかもしれませんが、仲直りが必要な喧嘩には余りなりません。ただ、相手に不快な思いをさせてしまったかしらと思う時には、素直に謝るということが大切なのかもしれないと思っております。それから、今、犬がおりますけれども、この、犬がいるというのも夫婦の仲にとって、とても良いように思います。よく『夫婦喧嘩は犬も食わぬ』と申しますけれども、喧嘩の種は割とよく拾って食べてくれるような気がいたします」

両陛下と、愛犬の「由莉(ゆり)」 宮内庁提供

 仲睦まじいエピソードに宮内記者からも笑いが漏れた。ご興味を持っていることについての質問では、山歩きや天体観測などに続き、御所の窓で見つけたクワガタと、その幼虫の飼育についてご紹介された。

「子どものころに親しんだ昆虫に、また触れることができて、そのことによって、いろいろな、例えば虫ですとか、そういった小さな命ひとつひとつが大変いとおしく思えてくるものでございまして、そのようなことから、現代の子どもたちにもそういう体験をすることというのは、とても大切なことなんではないかしら、と感じております」