「全国赤十字大会」で見えた雅子さまの責任感
御養蚕所見学から3日後、15年ぶりのご出席となった「全国赤十字大会」は、雅子妃にとって大きな自信に繋がる出来事だった。
3日前にお会いしたばかりの皇后との再会に、雅子妃は実に嬉しそうだった。式典中は、日本赤十字社名誉総裁としての最後のなさりようを目に焼き付けようと、真剣な眼差しを送られていた。そのご様子からは、新皇后となる責任感が感じられた。
式典の最後、皇后が挨拶を終えられると、後ろに下がり、雅子妃に声を掛けて腕をとられた。雅子妃が少し驚いたご様子で、はにかみながら皇后の横に並ぶと、次期名誉総裁として紹介されたのだった。会場からは、割れんばかりの拍手が送られた。
「癒しながら癒される」雅子さまの新皇后としての在り方
雅子妃の大きなご回復は、2018年の夏にも続いていた。皇太子ご一家が例年通りに那須御用邸でご静養されるため那須塩原駅に到着された時のことだった。雅子妃は沿道で待機していた少女たちに話し掛けるなど、駅前の滞在時間10分の予定が、過去最長の20分にもなった。
さらに、苦手と言われていたマスコミ対応にも大きな変化があった。
「この前の週、須崎のご静養では、御用邸に隣接する三井浜をご一家が歩きながら記者の質問に答えられたんです。那須ではさらにオープンになり、御用邸内の散策の取材許可までおりたのは、史上初のことでした」(宮内記者)
ご静養で英気を養った雅子妃には、皇太子妃としての最後の務めをできるだけなさりたいという意欲が感じられた。同時に、美智子皇后から受け継ぐことの重要さと、皇后にとって大切な最後のご公務を欠席するわけにはいかない、という強い気持ちがあったといわれる。また、八大行啓のうち、5月の「全国『みどりの愛護』のつどい」、10月に大分で開かれた「国民文化祭」、11月には東京で「全国育樹祭」にご出席された。
そうした公務の中で、しだいに雅子妃らしさが見えたのもこの頃だった。