天皇皇后両陛下は令和で最初の結婚記念日を迎えられました。「女性自身」の皇室カメラマンとして、昭和の時代から35年に渡り皇室の方々を撮影してきた河崎文雄さん(74)に、おふたりの秘蔵写真やファインダー越しに見た「素顔」を特別に紹介してもらいました(写真は「文春オンライン」で限定公開しています)。
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“新婚旅行”とも言われたご成婚後初の海外訪問
両陛下のご成婚後初の海外訪問で、“新婚旅行”とも呼ばれたのは、1994年11月の中東4カ国ご訪問です。サウジアラビア、オマーン、カタール、バーレーンを公式訪問され、私は日本から政府専用機に同乗して約2週間をご一緒しました。上皇ご夫妻が訪れたことがあるサウジアラビアを除く3カ国での、皇族の公式訪問は初めてのことでした。
印象深い撮影は、サウジアラビアの「赤い砂漠」でお願いしたツーショットです。周囲はごつごつした岩が混じった土漠なのですが、このエリアだけ、見渡すかぎり赤い砂が広がっていて、とても美しいのです。
おふたりの周りには、たいてい政府関係者や取材陣がぞろぞろついて歩きます。せっかくいい景色が広がっているのに、シャッターを切ると後ろのおじさん連中が写り込んでしまう。イスラム圏では女性は肌を露出してはいけないので、女性カメラマンはアバーヤと呼ばれる衣装を身にまとっていたのですが、着慣れていないからまるで忍者のよう(笑)。
これでは台無しだと思って、「周りに人が写らないように、おふたりだけでむこうのほうに歩いていただけますか」と侍従に注文すると、おふたりは快諾してくださりました。赤い砂におふたりの足跡だけが続き、振り返ったところを撮影しました。
「赤い砂漠」に、雅子さまがお召しになっていた深緑の服がよく映えています。気温は30度以上あったと思いますが、おふたりとも涼しげな表情をむけてくださいました。