令和の皇室外交がトランプ米大統領の来日でスタートする。宮中晩餐会を主催される新天皇と皇后が、トランプ大統領夫妻を国賓としてどのようにもてなすか、注目が集まる。
雅子さまは通訳なしでアラブの女性王族と語られた
5月に上梓した拙著『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)に詳しく書いたが、新天皇と皇后の「皇室外交」のはじまりは、1994年、ご成婚後のアラブ7カ国訪問に遡る。当時、徳仁皇太子と雅子妃は、男女が同席しないイスラムの慣習に基づいて別々に晩餐会に臨んだ。男性社会の中東で、雅子妃は元外交官だったキャリアを活かし、女性王族に囲まれて通訳なしで会話を和ませたという。アラブの女性王族の中に女性皇族が入ったのはこれが初めてで、「アラブの王室と重層的な関係が作れたのは大きな意義がある」と評価された。
新天皇と皇后の、上皇と上皇后になかった特質は、外国での生活体験(いずれも英国での暮らしだった)があるということだ。経験に裏付けられたグローバルな国際感覚を持っていることでもあり、これは令和の皇室外交の大きな強みとなるだろう。トランプ大統領の父はドイツ、母はスコットランドからの移民で、メラニア夫人は東欧スロベニア出身。欧州をよく知り、世界各国を訪れている両陛下との間で話が弾むのは間違いない。