長年、テレビコメンテーターや作家として活躍する森永卓郎さん。しかし若かりし頃は、ある失言がきっかけでラジオ局から干されたことも…。問題となった「乳頭なぞかけ事件」の真相を、新刊『がん闘病日記』(三五館シンシャ)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)

森永卓郎さんがラジオ局から一時期、干された理由とは…? ©文藝春秋

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ラジオという自由の大地

「ニュースステーション」出演の効果は大きく、それから私は多くのテレビやラジオに引っ張りだこになった。とくにどっぷり浸かったのがラジオだ。ラジオはテレビより自由度が高いからだ。

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 ニッポン放送で「ショウアップナイターニュース」という番組を松本秀夫アナウンサーと一緒にやったとき、番組宣伝のために、直前に放送されていた笑福亭鶴光師匠の番組に乗り込んだ。鶴光師匠がなぞかけを出題してきた。

「アスパラガスとかけて」

 松本秀夫アナウンサーは「アシスタントの小野礼子さんと解きます」

 その心は「まっすぐすくすくと育っています」。

「なんや、ふつうやな」と鶴光師匠。「森永、やってみい」

「アスパラガスとかけて乳頭と解きます」と私。

「マヨネーズをかけると美味しく食べられます」

 それが気に入られて、私は鶴光師匠の弟子にしてもらった。笑福亭呂光(しょうふくて~ろこう)という名前だ。「しょうふくてエロこう」と名前にエロが潜んでいる。

 いまでも、どんなお題でも乳頭で解くという日本唯一の「乳頭なぞかけ」を得意技にしているのだが、残念ながらニーズがほとんどない。ただ、似たようなことをずっとラジオでやり続けた。

盟友・垣花正との出会い

「ショウアップナイターニュース」は、プロ野球のシーズンオフに放送される番組だったので、私は夕方に新番組として放送されることになった「垣花正のニュースわかんない!?」に毎日コメンテーターとして出演することになった。そこで垣花正アナウンサーと出会うことになった。

 私はすぐに彼の才能を見出した。垣花アナ自体が面白いわけではない。彼の最大の持ち味は、脳みその瞬発力だ。どんなに私が暴走したコメントをしても、しっかりと受け止めて球を返してくる。だから、垣花アナが一番輝くのは、隣に頭のおかしなコメンテーターを置いたときだ。もちろん、その代表格は私だった。