森友事件を巡り今月初めて開示された財務省の文書に多数の欠落が見られる問題で加藤勝信財務相は、事件発覚当時に行われた公文書の廃棄により生じたという見方を示し、改めて原因を調査する考えは示さなかった。

近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん

赤木雅子さんの弁護団は、財務省に回答を求めている

 財務省が森友学園に国有地を8億円余も値引き売却した森友事件は2017年2月に発覚した。時の首相の妻、安倍昭恵氏が名誉校長だったことから財務省はその名前を消すなどの改ざんを始め、改ざんを命じられた近畿財務局の赤木俊夫さんが命を絶った。妻の赤木雅子さんは財務省が検察に任意提出した関連文書の開示を求め、3年余に渡る裁判の末、第1弾として4月4日、森友学園との土地取引に関する文書2255枚が開示された。ところが文書の右肩に手書きでほぼ時系列で記されている番号に、多数の欠落があることが明らかになった。意図的な抜き取りの疑いもあることから、赤木雅子さんの弁護団は、誰がなぜ削除したのか財務省に2週間の期限で回答を求めている。

籠池理事長夫妻と安倍昭恵氏の3ショット

「廃棄をしたため欠落が生じてくるものもある」

 この問題について加藤勝信財務相に4月22日の閣議後会見で見解を質した。すると加藤財務相は、それまで米トランプ政権の関税措置の影響などについてはよどみなく答えていたにもかかわらず、この質問には5秒余り黙ったまま手元の資料に目を走らせた上でようやく答えた。

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「今回の開示請求は、あくまでも(財務省が)検察に出した文書を開示してほしいということで、我々はまさに検察に提出した資料をそのまま開示したものであります。意図的にそれを隠すというものではございません」

総裁選にも出馬した加藤財務相 ©︎文藝春秋

 その上で、欠落の理由について以下のような見方を示した。

「今お話のあった、欠落している文書はどうなってるんですか? というお話に関しては、平成30年の(財務省の改ざんに関する)調査報告書において、森友学園事件に関し応接録の廃棄が行われたことが認定され、国会においても今回の開示文書に言及した際には、廃棄をしたため欠落が生じてくるものもあると答弁しています」

2000ページを超える開示文書

 これは不可解な言い訳だ。確かに一部の公文書が事件発覚当初に廃棄されているが、その当時は隠ぺいされ、わかっていなかった。もし一部が廃棄された状態の文書をそのまま検察に提出したら、通し番号が続いていないことから欠落が明らかになってしまう。逆に言えば、検察提出時には通し番号はきちんとそろっていた、あるいは通し番号は提出後に検察が付けたと考えるのが自然だ。いずれにせよ今なぜ開示文書に欠落があるのかの説明がつかない。