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「追いガムシロ」でタピオカを長持ちさせる!?

「本来タピオカが美味しく食べられるのは、煮てから3、4時間。それ以上時間が経つと、タピオカ同士がひっついたり、プニプニの食感がなくなったりして売り物にならない。大手のチェーン店などは、タピオカがくっつかないよう常にかき混ぜて、一定の時間を超えると破棄します。が、我々のような個人営業の店は、そんなもったいないことはできません。いまや希少な『タピオカ様』ですから……」

 そこで横行しているのが、「追いガムシロ」という手法だ。タピオカをシロップに漬けて保管するのは一般的な方法だが、煮てから時間が経過すると、次第にタピオカが乾いて固くなり、タピオカ同士がくっついてしまう。通常はそれを避けるため、4時間程度で廃棄するが、定期的にガムシロを入れて混ぜることで、長持ちさせられるのだという。

「追いガムシロ」で、本当に固くなったタピオカは“復活”するのだろうか。取材班は実際に再現してみた。

 都内では売り切れだったタピオカを、郊外の量販店まで足を伸ばして入手。早速、購入したタピオカをキッチンで煮る。

タピオカを鍋に投入 ©文藝春秋
タピオカを煮る ©文藝春秋
ザルに移す ©文藝春秋

 そして、A氏と同じように、タピオカをガムシロ漬けにしてタッパーに放置すること4時間。タピオカは萎んで固まり、お互いにひっつき合ってしまった。

右が煮てから4時間後のタピオカ。タピオカ同士がくっついる ©文藝春秋

 本来は廃棄する場面だが、A氏の証言に従って、再びタッパーにガムシロをドブドブと投入してみた。すると、みるみるうちにタピオカは元のピカピカな姿に蘇った。

これが秘技「追いガムシロ」だ! ©文藝春秋
よくかき混ぜる ©文藝春秋
元の姿に“復活” ©文藝春秋

「追いガムシロ」を衛生面から禁止する店も

 今回、取材班はパック入りの「生タピオカ」で再現したが、水で長時間戻した後に茹でる必要がある「乾燥タピオカ」を使用すると、さらに大きなメリットがあるという。

「生タピオカで『追いガムシロ』をやると、どうしても少しずつ劣化しますが、乾燥タピオカはエンドレス。朝作ったタピオカは数時間ごとに、追いガムシロをしていれば夜の閉店まで頑張ってくれる。タピオカがガムシロップで再びコーティングされて食感も戻ってくるんです。それでも余ったら、翌日煮たばかりのタピオカに混ぜてしまえば、お客さんには分かりません」(A氏)

 大手タピオカドリンク店では、この「追いガムシロ」はしていないという。都内の人気大手チェーン店に勤務する女性店員が証言する。

「ガムシロを付け足して保存するのは、衛生面で禁止されている。もったいなくても最大保存時間は4時間で、それ以上経過したら廃棄です。それに、朝作りたてのタピオカと、4時間経ったあとのタピオカでは、驚くほど味が変わる。お客さんにも、商品を手渡すときに『1時間以内に飲んでくださいね』とお願いしているほどです」