観光立国の名のもと、訪日外国人旅行者頼みの宿泊業界。ここ数年のインバウンドの活況は、日本の宿泊施設を大きく変化させている。カテゴリーのボーダレス化はその一端だ。たとえばシティホテル/ビジネスホテルという区分がある。先日、ホテルに関する記事で「ホテルのジャンルといえば、料金によってシティホテルかビジネスホテルかに大きく分けられ」という文章を見たがこれは誤りだ。そうなると、繁忙日のアパホテルはシティホテルになってしまう。
両者の区分は料金の高低ではなく、フルサービス/リミテッドサービスの違いである。宿泊機能のほかに料飲やバンケットなど多様なサービスを提供する施設がシティホテル、宿泊に特化した施設がビジネスホテルだ。
従来のカテゴリーが変化するホテル業界
しかし、シティホテル/ビジネスホテルのボーダーは変化しつつある。シティホテルは設備が豪華で客室も広いという印象だが、最近では広々とした客室や質の高いレストランを有した「進化系ビジネスホテル」を見かけることも増えた。一方、従来シティホテルとされてきた施設が、レストランやヘルスクラブなどを廃止、宿泊特化へシフトする例もある。また、「温泉旅館」といわれる施設でベッドを導入した客室が人気になったり、「ライフスタイルホテル」のような特定の文化や趣味・嗜好にフィーチャーする宿泊施設等々、様々な差別化が図られた結果、もはや従来のカテゴリーは通用しなくなっている。